弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

千葉地判平成28年3月25日,四街道徳洲会病院に術後の血液検査義務を認め4600万円賠償命令(報道)

朝日新聞「痔の手術後に死亡、病院と担当医に賠償命令 千葉地裁」(2016年3月25日)は,次のとおり報じました.

「千葉県四街道市にある四街道徳洲会病院で2010年に痔(じ)の手術を受け、4日後に死亡した女性(当時60)の遺族が、病院を運営する医療法人「沖縄徳洲会」などに損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、千葉地裁であった。岸日出夫裁判長は、手術後に血液検査をして重篤と判断していれば「生存していた相当程度の可能性があった」として沖縄徳洲会と担当医2人に計約4600万円を支払うよう命じた。

 訴えていたのは、夫ら3人。判決によると、女性は10年1月26日、日帰りで痔の摘出手術を受けた。同28日夜、強い痛みを訴えてこの病院に搬送され、翌29日に人工肛門(こうもん)をつける緊急手術を受けたが、翌30日に敗血症で死亡した。

 原告側は手術時に医師が痔を適切に取り除かず、女性が下半身の痛みを訴えたのに29日の緊急手術時にも、担当医が麻酔後の神経障害を疑って血液検査を怠り、敗血症に気づかずに死亡したと主張した。岸裁判長は、手術での過失を認めなかったが、血液検査については「縫合不全を含む重篤な疾患の可能性を検討するためにも、検査すべきだった」と過失を認めた。

 同病院の広報を担当する医療法人「徳洲会」グループは「司法の判断を厳粛に受け止め、ご遺族の負担を考え、全額支払います」とコメントした。」


千葉日報「過失認め4600万円賠償命令 痔手術後死亡で千葉地裁 四街道徳洲会」(2016年3月26日)は次のとおり報じました.

「四街道市の四街道徳洲会病院で2010年1月、千葉県内の女性=当時(60)=が痔の手術後に死亡したのは医師らが検査を怠ったのが原因だとして、遺族が同院を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、千葉地裁(岸日出夫裁判長)は25日、「検査が行われていれば命を救えた可能性は高い」として、同院側に請求内容とほぼ同額の約4600万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると、女性は同年1月26日、同院で痔の日帰り手術を受けた。2日後、女性は下半身に強い痛みを訴えショック状態となり、同院へ入院。医師らは術後の神経痛を疑い、炎症を調べる血液検査やCT検査を行わなかった。その後、女性は容体が悪化。緊急手術が行われたが、同月30日に敗血症で死亡した。

 岸裁判長は判決で、遺族の「手術中の患部の切除や縫合が不十分だった」という主張は退けたが、「再来院した際に重篤な状態を疑い、適切な検査が行われていれば、白血球数の異常などが判明し、結果的に死亡を防げた可能性が高い」と指摘した。

 原告側の福武公子弁護士は「遺族の請求が認められて良かった。再発防止のため、病院側は積極的に症例報告をすべき」とコメントした。」


この件は,私が担当したものではありません.福武公子先生が原告の代理人です.

医師の検査義務は,症状等から異常,疾患等が疑われるときに生じjます.
したがって,強い民を訴えている患者については,基本的に検査義務が肯定されると考えます.
「強い痛み」から疑われる疾患は多く,特定できませんので(その特定のための検査せすので),何らかの重篤な疾患が疑われることで,検査義務を肯定できると考えます.
朝日新聞の報道では,「相当程度の可能性」とうけとり方もいるかもしれませんが,千葉日報の記事から明らかなとおり因果関係について「高度の蓋然性」を認めたものです.

裁判所ホームページ,判例雑誌等に掲載されたら,判決文を読んでみたいと思います.


【追記】

正確には,検査義務を怠ったA医師の過失と結果との因果関係については,高度の蓋然性を認め,A医師と徳洲会に4689万7800円の支払いを命じ,その後検査が実施されたのですが,その検査の評価を誤ったB医師の過失と結果との因果関係については,相当程度の可能性を認め,B医師と徳洲会に880万円(慰謝料800万円と弁護士費用80万円)の賠償を命じた判決です.総額では,4689万7800円です.

谷直樹


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by medical-law | 2016-03-26 07:29 | 医療事故・医療裁判