弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

久留米大学病院、冷凍庫の故障により幹細胞が解凍してしまい生着しなかった件で提訴される(報道)

RKB「“4歳児死亡は医療ミス”両親病院提訴」(2016年6月17日) は、次のとおり報じました.

「小児がんの治療中だった4歳の男の子が死亡したのは、病院側の医療ミスが原因だとして、両親が病院側に5600万円あまりの損害賠償を求める訴えを起こしました。

訴えを起こしたのは、福岡県久留米市に住む40代の夫婦です。

弁護団によりますと、4歳で死亡したこの夫婦の長男は9年前、小児がんと診断され、久留米大学病院に入院しました。

抗がん剤による治療の中で、病院側は男の子の体内から血液をつくる細胞を取り出して冷凍保存し、その後移植しましたが定着せず、男の子は肺炎による多臓器不全で死亡しました。

男の子の両親は、「冷凍庫が故障したため、細胞が一度解凍されてしまった。定着しなかったのは病院の管理ミス」だとしてあわせて5600万円あまりの損害賠償を求めています。

訴えについて久留米大学病院は、「事実関係を確認中」としています。」


これは私が担当したものではありません.

自己末梢血幹細胞採取し冷凍保存→抗がん剤大量投与→自己末梢血幹細胞を解凍し点滴投与,という順で小児がんの自己末梢血幹細胞移植治療が行われますが,この過程で冷凍庫の故障がおきたようです.
冷凍庫の故障が病院の管理ミスにつながる理由については上記報道からはわかりません.
冷凍庫が故障したのは定期的な点検を実していれば病院の責任ではありませんので、故障後の病院の対応に問題があるケースなのでしょう.
なお,日本輸血・細胞治療学会と日本造血細胞移植学会が策定した「院内における血液細胞処理のための指針」は,保存庫には継続的な警報システムが設置されていることが望ましい,警報システムは警告音または効果的な連絡方法を備えていること,現場周囲に作業員がいなくても 24時間体制で代行者が対応できる体制であること,警報の設定は十分な安全域をもって設定すること,万一保管容器が故障した場合に、血液細胞製剤が安全な温度に保てるような方法を講ずること等厳重な保管体制を求めています.


谷直樹



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by medical-law | 2016-06-18 01:21 | 医療事故・医療裁判