弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

最高裁平成28年7月19日判決、患者側逆転敗訴、CT検査義務の期待権侵害を否定した事案(報道)

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時事通信「手術後後遺症で逆転敗訴=一部賠償命令の二審破棄-最高裁」(平成28年7月19日)は、次のとおり報じました.

「東京都台東区の病院で脳の外科手術後に後遺症が残った新潟市の男性(48)が、病院側に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は19日、一部賠償を認めた二審判決を破棄し、請求を棄却した。男性側逆転敗訴が確定した。
 判決によると、男性は2009年に手術を受けた直後に脳内出血し、手足の筋力が低下するなどして日常生活で介護が必要な状態となった。男性側は、医師らは出血の兆候が出た時点でコンピューター断層撮影(CT)検査をすべきだったのに怠ったとして提訴した。
 一審新潟地裁は請求を棄却。しかし、二審東京高裁は医師が注意を怠ったと認定した上で、男性は適切な治療を受けられず精神的苦痛を受けたとして、5000万円の請求に対して1100万円の賠償を命じた。
 これに対し第3小法廷は「患者が適切な医療を受けられなかった場合に医師が責任を負うかどうかは、その行為が著しく不適切な事案に限って検討する」と指摘。男性の場合は医師が経過観察を続けるなどしており、不適切なケースに当たらないと判断した。」


これは、私が担当した事件ではありません.
期待権侵害(適正な医療を受ける期待権の侵害)は、下級審では認められていますが、最高裁で肯定した事案はありません.

以前、私も、、担当事件で、34時間のCT不実施について期待権侵害の主張を行ったことがありますが、その後、主張を変えて戦っています.予備的に「相当程度の可能性」「期待権侵害」を主張せざるをえない事案もありますが、基本的には悪しき結果との因果関係(高度の蓋然性)を立証することが王道の戦い方と考えています.裁判所が因果関係(高度の蓋然性)の認定について異常に厳格だった時期があるように思いますが、これもルンバール事件の原点に立ち戻って常識的な認定に戻すべきと思います.


 谷直樹


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by medical-law | 2016-07-24 00:58 | 医療事故・医療裁判