弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

群馬大学医学部附属病院医療事故調査委員会報告書

群馬大学医学部附属病院医療事故調査委員会の最終報告書が公表されました.

群馬大学の医学部附属病院医療事故調査委員会専用ページはコチラです.

読売新聞「群大病院の医師、問題意識なく執刀…収益優先で手術数競う」(2016年8月1日)は次のとおり報じました.

「1年近い検証作業を経て、調査結果がまとめられた群馬大学病院の手術死問題。一連の調査からは、一つの診療科で顕在化した問題の根本に、質の低い医療が繰り返されるのを許した病院組織のひずみがあることが浮き彫りになった。

■「死亡防げた」

 「適切な対応をしていれば、その後の死亡の続発は防げた可能性がある」

 調査を担った第三者委員会は、2009年度1年で患者8人の死亡が集中した旧第二外科や病院の対応を問題視した。担当したのは同じ執刀医だった。

 執刀医は、上司である教授がその職に就いた翌年の07年4月、群馬大病院に赴任した。先輩医師が別の病院に移った09年春から肝胆 膵すい (肝臓、胆道、膵臓)手術を主導するようになり、死亡が集中した。同年度の死亡数は、着任当初2年間の年間死亡数の約2倍だった。

 「重症の患者であり、術後の合併症による死亡で、やむを得ない」

 調査によると、執刀医に問題の認識はなかった。手術が一時中断されたこともあったが、有効な改善策もなく再開。死亡が集中した翌年度には、高度な技術が必要な 腹腔ふくくう 鏡手術を導入した。その後、14年までに開腹も含め少なくとも15人の死亡が相次いだ。

■最重要課題

 群馬大病院は、国立大の法人化で自立した経営が求められるようになってから、収益のため手術数増が最重要課題となった。100床当たりの手術数は10年度、全国の国立大病院中1位。11年度は3位、12~14年度は2位と上位を占めた。

 特に旧第二外科の肝胆膵分野は、医師が1~2人と不足状態だったにもかかわらず手術数を増やした。旧第一外科でも同じ分野の手術を手がけており、3~6人の医師が診療していたが両科が連携することはなく、競い合うように同規模の手術数をこなしていた。

 肝胆膵外科の専門家は「手術だけでなく術後の管理や突発的な出来事に対応することも考えると10人は必要ではないか」と驚く。こうした旧第二外科の状況について、調査は「著しく許容量の限界に近かった」と問題視した。

■カルテにうそ

 旧第二外科の診療を巡っては、虚偽とみられる記録も見つかった。

 旧第二外科の教授は記録上、多くの手術に名前が記載されていたが、実際は参加していなかったこともあった。教授は12年、日本肝胆膵外科学会が高い手術実績を持つ医師として認定する高度技能指導医の資格を専門外であるにもかかわらず、取得していたが、資格に見合う技量があったか疑問視されている。

 腹腔鏡手術を導入した10年から1年間の手術成績をまとめた学術論文では、実際より死亡数を少なく発表していた。

 不正確なカルテ記載も数多く見つかっている。

 調査では、死因究明のために解剖を求めた遺族が執刀医に「こういう場合は解剖しない」などと断られたが、カルテには遺族が拒否したかのような記載があったことも明らかになった。

 第三者委の聞き取り対象外だった遺族の男性も取材に対し「実際にはされた覚えのない病状の説明がカルテ上ではされたことになっており、不信感を持った」と話した。」


 予想はされていましたが,やはり,相当に深刻な問題があったことが明らかになりました.
 今後,根本的で実効的な改善が必要です.また,遺族に対する適正な賠償も必要と思います.


谷直樹


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by medical-law | 2016-08-02 01:11 | 医療事故・医療裁判