弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

短期入所施設が医薬品使用介助で経口血糖値降下薬を取り違えたとして提訴される(報道)

河北新報「誤投薬で入所者が死亡」遺族が施設を提訴」(2016年8月11日)は,次のとおり報じました.

「登米市の短期入所施設で生活していた宮城県美里町の女性=当時(93)=が死亡したのは、施設側が他の入所者の薬を誤って服用させたためだとして、遺族が10日までに、同市の運営法人に計2530万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。
 訴えによると、女性は2012年10月、施設と短期入所契約を締結。約1カ月半後、施設内で意識を失い、救急搬送先の病院で「糖尿病の薬を飲んだことが原因と考えられる」と指摘された。女性は意識が戻らず、13年2月に死亡した。」


この件は,私が担当したものではありません.

医薬品使用介助自体は,「医業」ででゃなりませんが,安全に行わう注意義務があります.

厚生労働省は,平成26年10月1日,「老人福祉施設等における医薬品の使用の介助について(老人福祉施設等への注意喚起及び周知徹底依頼)」を通知しています.
通知では,

「 1. 老人福祉施設等を利用しようとする者に対しては、医薬品の使用の有無及び当該医薬品を処方した医療機関からの留意点等の説明の有無について、本人又は家族に確認するとともに、必要に応じて当該処方医療機関にも留意点等の確認を行うこと。また、医師、歯科医師又は看護職員の配置がある場合には、使用している医薬品に関して確認された内容について当該職員等は把握のうえ必要な対応を行うこと。
より、本人確認の徹底を行うこと。
2.利用者に対して老人福祉施設等の職員が医薬品の使用を介助することになった場合には、その使用目的、取り違えその他の誤使用を防止する方策、適正に使用する方法等について、従業者に対し、改めて周知徹底すること。また、看護職員の配置がある場合には、医薬品の使用の介助については看護職員によって実施されることが望ましく、また、その配置がある場合には、その指導の下で実施されるべきであること。
3.医薬品の使用の介助に当たっては、「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(平成17年7月26日付け・医政発0726005号)」(別添1)や、また特別養護老人ホームについては平成24年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金による「特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン」(別添2)を参考にすること。特に、医薬品の取り違えについては、利用者の入れ替わりや職員の入れ替わりなどで起きる可能性が高まることを踏まえて、日頃から職員の声かけなどにより、本人確認の徹底を行うこと。」


とされています.

医薬品使用介助における薬を取り違えは,注意義務違反となるでしょう.

また,糖尿病ではない人が経口血糖降下薬をのむと,血糖値が下がり,意識不明となり死亡することがありますので,上記報道の範囲でしか事情は分かりませんが,因果関係もあるのではないでしょうか.

谷直樹


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by medical-law | 2016-08-12 01:52 | 医療事故・医療裁判