弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

長崎市立病院機構が心筋梗塞の見逃し事案で400万円和解(報道)

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毎日新聞「長崎市立市民病院訴訟 遺族へ和解金 長崎地裁」(2016年8月13日)は,次のとおり報じました.
 
「長崎市立市民病院(現・長崎みなとメディカルセンター市民病院)の医師が適切な診断を下さず、直後に亡くなったとして、2010年に急性心筋梗塞(こうそく)で死亡した女性(当時63歳)の遺族が同病院を運営する市立病院機構に約5300万円の損害賠償を求めた訴訟は長崎地裁(田中俊行裁判長)で和解が成立した。

 同病院の企画総務課によると、病院側が解決金400万円を支払うことで6月28日に和解した。病院側は和解協議の中で遺憾の意を示した上で、医療安全体制の構築を進めることを遺族側に伝えた。

 訴状によると、女性は10年9月26日夕、吐き気などを訴え同病院で受診。ウイルス性腸炎と診断され、整腸剤などを処方されたが病状は改善せず、翌朝、急性心筋梗塞で死亡した。遺族は「循環器専門医への相談や、経過観察などの義務を怠った」と主張していた。【今手麻衣】」


この件は,私が担当したものではありません.

急性心筋梗塞で虚血がおきると,心臓下壁の副交感神経が刺激され,吐き気,むかつきなどの症状がでることがあります.このことはよく知られています.
とくに上記報道の件は女性で,女性の心筋梗塞は男性の心筋梗塞に比べると,典型的な胸痛を訴えないことが多いことも考慮すべきでしょう.
吐き気の症状が整腸剤で改善しないときは,急性心筋梗塞なども疑うべきだったでしょう.

400万円という金額からすると,過失が認められるが,過失がなかったとして救命できたか(因果関係)については相当程度の可能性にとどまるということでしょう..
因果関係が相当程度にとどまるとしても,過失が認められる以上は,謝罪し再発防止に努めるのは,当然のことですが,謝罪条項と再発防止条項をいれたことも,和解成立につながったのでしょう.


谷直樹


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by medical-law | 2016-08-15 22:24