弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

育児休業,最大2年へ

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期間が原則1年,半年の延長が認められている育児休業ですが,厚生労働省は7日,この期間を最長で2年まで延長する方針を決めた,と報じられています.

しかし,改革の方向が違うのではないか,と思います.
児童福祉法24条1項は,「市町村は、この法律及び子ども・子育て支援法 の定めるところにより、保護者の労働又は疾病その他の事由により、その監護すべき乳児、幼児その他の児童について保育を必要とする場合において、次項に定めるところによるほか、当該児童を保育所(認定こども園法第三条第一項 の認定を受けたもの及び同条第九項 の規定による公示がされたものを除く。)において保育しなければならない。」と定めています.
法の趣旨から,自治体が保育が必要な子全員に保育所保育を実施すべきで,国がそれを補助する政策をとるべきと思います.
安倍政権の「子育て支援新制度」が「待機児童問題」を悪化させているのですから,それを改めるのが先決でしょう.

東京保険医協会は,「なぜ、保育園に入れないのか――小学校に入学できない子はいない」で,次のとおり述べています

「現にEU各国では、未就学年齢の子の保育事情を調査し、95年以後GDPの1%以上を拠出することを義務づけ、希望するすべての子の保育を実施しており、こうした姿勢により少子化を克服しはじめたフランスなどの先進国も出現しはじめている。もちろん保育園職員の給与体系は小学校教諭と同じである。
 それに対し、わが国の予算はGDP比0.45%であり、保育園職員の平均年収は小学校教員の6割で、全産業平均より166万円も少なく、慢性的な人員不足を続けている。また、認可保育園ですら、子どもひとりの保育者数、面積などはEUと比較にならない状態である。」
「わが国でも、経済構造が変わり、農業などの一次産業主体から地域崩壊・核家族化がはじまった時代には、「ポストの数ほど保育所を」との掛け声で、地域に結びついた多くの保育所がつくられていた。GDP比も1%を超えていたといわれる。当時から「人々に支えられ生き生きと働く父母と子どものなかま」が、子の健康な生育に不可欠であると、乳幼児期のケアと教育の大切さは直感的に理解されていた。
 現在、国際的には、子どもへの財政的支援は早ければ早いほど大きな効果を持つという科学的データが集積されてきている。その中身はIQに代表される認知機能ではなく、好奇心や集団への参加能力などの非認知機能=健全な大人集団、子ども集団のなかでの「あそび」の体験の重要さであることが分ってきた。生涯年収と就学前教育の程度が相関するとさえいわれている。」
「認可園以外の施設における子どもの事故も、認可園の60倍になることが、明確になっている。予算も増やさず、認可園への水増しの入園や、保育職員も「子ども一人当たりの有資格者数が半分でいい」という企業主導型保育施設などで糊塗するなど許されることではない。
 国の責任で、「子の人権」を守り、早急に保育体制を整備すべきである。」



なお,雇用契約は双務契約であることから,ノーワーク・ノーペイ原則があり,育児休業は無給が原則です(事業主が定めれば有給となります.)
育児休業給付は雇用保険から出ています.育児休業給付金は雇用保険から支払われ,その支給額は,支給対象期間(1か月)当たり,原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6か月経過後は50%)相当額となっています.
期間延長は,雇用保険の負担を増やすことになります.
月給200万円の勤務医が2年間休業したら,雇用保険の負担は少なくありません.
また,医療は進歩していますので,2年間ブランクがあると,医師は復帰したあとがとても大変です.
保育を充実することで,出産,育児を機に退職する医師が減れば,医師不足もだいぶ解消されると思います.
弁護士も同様で,2年前の知識では,多くの場合,実務は対応できません.
2年間のブランクがあっても問題がない職業は,専門家の場合,ほとんどないのではないか,と思います.


谷直樹

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by medical-law | 2016-12-08 23:42 | 福祉