弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

京都大学医学部附属病院,胸腺腫の手術で左横隔神経を切断した件で提訴される(報道)

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産経新聞「医療ミスで肺機能低下 「切る必要ないところを切った」…67歳自営業男性、京大病院提訴」(2016年12月27日)は次のとおり報じました.

「京都大病院(京都市左京区)で平成21年7月、胸腺の摘出手術を受けた際、誤って神経を切断されて左肺の半分が機能しなくなったとして、大津市の自営業の男性(67)が26日、同病院に約1730万円の損害賠償を求める訴訟を京都地裁に起こした。

 訴状などによると、男性は同年6月、同病院呼吸器外科で検査を受け、胸腺腫と診断された。7月に胸腺摘出手術を受け、同科の男性医師が執刀したが、胸腺を切除する際に左横隔神経を切断。病院側は8月、男性に説明を行い、執刀医は「切る必要がないところを切った」としたという。

 男性は9月末に退院したが、神経が切断されたことで左横隔膜が押し上げられて左肺が圧迫され、左肺の呼吸機能は手術前の半分となったといい、「執刀医らが神経の確認作業などを怠ったため機能が低下し、多少の歩行や重たい荷物を持つと息切れし、階段の上り下りも困難になるなど、日常生活に不便が生じた」と主張している。

 原告側によると、京大病院側はその後、「執刀医らの確認作業が不十分で、神経に対する注意が低くなっていた」などとする内容の報告をとりまとめたという。

 提訴について京大病院は「訴状が届いていないためコメントできない」としている。」


これは私が担当した事件ではありません.
上記報道からは「胸腹部臓器の機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(7級)か,「胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」(9級)か,後遺障害の程度まではわかりませんし,自営業の逸失利益の金額評価が難しいのかもしれませんが,胸腺腫の手術で左横隔神経を切断したことに医師の過失があることが明らかですから,医療過誤であることは明らかです.このように事案は,病院側が誠意ある対応をすれば,本来示談で解決できるものです.
それが提訴にまで至ったのは,病院側の対応に問題があったのではないでしょうか。
井上章一さんの『京都ぎらい』(朝日新書)が,「新書大賞2016」(中央公論新社主催)に選ばれ,売れているようです.私は地域やジェンダーや年齢を一括りにして論じるのは好きではないのですが,このようなことがあると,いろいろ言う人もいるのではないしょうか.



谷直樹

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by medical-law | 2016-12-30 08:33 | 医療事故・医療裁判