弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院,ラジオ波焼灼後の右横隔膜の損傷による出血死の事案で提訴される(報道)

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中日新聞「「術後処置遅れ出血死」 遺族、金沢医大を提訴」(2016年12月20日)は,次のとおり報じました.

「肝細胞がんの手術を受けた際に横隔膜を傷つけられ、石川県津幡町の七十代の男性が出血死したとして男性の遺族が十九日、金沢医科大病院(同県内灘町)を運営する金沢医科大に慰謝料など約四千万円を求め、金沢地裁に提訴した。

 訴状などによると、男性は昨年八月に金沢医科大病院で肝細胞がんが発見され、同年十一月十日、体内に差し込んだ針の先から高周波を放って腫瘍を焼く「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法」の手術を受けた。

 手術後、男性は吐き気などを訴え、五時間後には血圧も低下。翌十一日午前七時ごろ死亡した。解剖で死因は右横隔膜の損傷による出血死だったことが分かり、遺族側は手術時に傷つけられたことが出血原因と主張している。

 遺族側は十一日未明に血液検査で血液中のヘモグロビンの急激な低下が確認され、体内の出血が疑われる状態にもかかわらず、当直医が適切な検査や止血などをしなかったとも指摘。さらに、容体が変わった夜間に、医師の間で情報共有がされておらず処置が遅れるなどいくつかの注意義務違反があったと訴えている。

 遺族の代理人などによると、男性の死亡は、診療中の予期せぬ死亡事故を調べる国の「医療事故調査制度」の対象となり、病院と第三者機関が院内を調査。今年六月に出た調査報告書では、医師間の連携が取られなかったために出血の発見が遅れたことが指摘され、遺族にも報告された。

 金沢医科大病院の担当者は取材に「訴状が届いていないのでコメントは差し控える」と話した。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
右横隔膜の損傷による出血死の原因は,ラジオ波焼灼によるものと考えるのが合理的でしょう.
医師間の連携が取られなかったために出血の発見が遅れたこと以外にも,注意義務違反(過失)は考えられるようです.
審理及び判決に注目したいと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-01-12 23:40 | 医療事故・医療裁判