弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

日弁連,旧優生保護法下において実施された優生手術及び人工妊娠中絶に対する補償等を求める意見書

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日本弁護士連合会(日弁連)は,2017年2月16日,「旧優生保護法下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶に対する補償等の適切な措置を求める意見書」を発表しました.長文ですが,ご一読をお奨めいたします.


「第1 意見の趣旨
1 国は,旧優生保護法下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶が,対象者の自己決定権及びリプロダクティブ・ヘルス/ライツを侵害し,遺伝性疾患,ハンセン病,精神障がい等を理由とする差別であったことを認め,被害者に対する謝罪,補償等の適切な措置を速やかに実施すべきである。
2 国は,旧優生保護法下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶に関連する資料を保全し,これら優生手術及び人工妊娠中絶に関する実態調査を速やかに行うべきである」


そして。次のとおり結んでいます.

「旧優生保護法下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶の被害者は合計8万3963人にも及び,これらの被害者に対しては,ハンセン病を理由とする被害者に対してのみ,その隔離政策と差別全般に対する謝罪と補償がなされたものの,それ以外には,今日に至るまで謝罪や補償がなされることなく放置されている。

「旧優生保護法下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶は,対象者の自己決定権(憲法13条)及びリプロダクティブ・ヘルス/ライツを侵害し,かつ,平等原則(憲法14条1項)に違反する。

日本政府は,実施当時,旧優生保護法に基づき適法に行われた手術は補償の対象とはならない旨の見解を示しているが,法が憲法に違反していれば,法としての効力を有しないのであるから,実施当時適法であったとの主張が論拠を失うことは言うまでもない。

よって,これらの優生手術及び人工妊娠中絶が国家的な人口政策を目的としてなされたこと及びその被害が極めて重大であることに鑑みれば,その被害を放置することは許されず,

国は,被害者に対する謝罪,補償等の適切な措置を実施すべきである。

また,被害者に対する謝罪,補償等の適切な措置を実施するに当たっては,その前提として,優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶に関連する資料を保全し,これらに関する十分な実態調査を行うことが必要である。優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶は,1949年から実施されており,同年から現在までに68年もの年月が経過している。そのため,現時点においてすでに重要な資料の一部が失われている可能性があり,今後さらに,年月の経過とともに関連する資料が散逸する危険性がある。これら優生手術及び人工妊娠中絶の関連資料が失われれば,実態調査が難航するとともに,被害者が被害を
受けたことを立証することも困難となるおそれがある。よって,国は,早急に関連資料の保全を行った上で,優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶の実態調査を実施すべきである。

この適切な措置及び調査は国際機関からの要請でもある。そして,旧優生保護法の制定当初に優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶を実施された被害者が,すでに相当に高齢になっていることをも考慮して,被害回復のための適切な措置及び調査は可能な限り速やかに実施されるべきである。 」



谷直樹

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by medical-law | 2017-02-22 18:56 | 弁護士会