弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

安全で適切な医療提供の確保を推進するため,医療法等の一部を改正する法律案,第193回国会提出

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医療法等の一部を改正する法律案が,平成29年3月10日,第193回国会(常会)に提出されました.その趣旨は,安全で適切な医療提供の確保を推進することにあります.
医療法等の一部を改正する法律案の概要は,以下のとおりです.


1.検体検査の精度の確保(医療法、臨床検査技師等に関する法律)
ゲノム医療の実用化に向けた遺伝子関連検査の精度の確保等に取り組む必要があるため、以下を実施
(1)医療機関、衛生検査所等の医療機関が検体検査業務を委託する者の精度管理の基準の明確化
(2)医療技術の進歩に合わせて検体検査の分類を柔軟に見直すため、検査の分類を厚生労働省令で定めることを規定

2.特定機能病院におけるガバナンス体制の強化(医療法)
特定機能病院における医療安全に関する重大事案が発生したことを踏まえ、特定機能病院が医療の高度の安全を確保する必要があることを明記するとともに、病院の管理運営の重要事項を合議体の決議に基づき行うことや、開設者による管理者権限の明確化、管理者の選任方法の透明化、監査委員会の設置などの措置を講ずることを義務付け

3.医療に関する広告規制の見直し(医療法)
美容医療サービスに関する消費者トラブルの相談件数の増加等を踏まえ、医療機関のウェブサイト等を適正化するため、虚偽又は誇大等の不適切な内容を禁止

4.持分なし医療法人への移行計画認定制度の延長(良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律)
持分あり医療法人から持分なし医療法人への移行促進及び法人経営の透明化等のため、
(1)移行計画の認定要件を見直した上で、(2)認定を受けられる期間を平成32年9月30日まで3年間延長
※出資者に係る相続税の猶予・免除、持分あり医療法人が持分なし医療法人に移行する際に生ずる贈与税の非課税を措置

5.その他
医療法人と同様に、都道府県知事等が医療機関の開設者の事務所にも立入検査を行う権限等を創設等


いずれも重要な改正ですが,とくに特定機能病院におけるガバナンス体制の強化,医療に関する広告規制の見直しはとくに重要です.


谷直樹

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by medical-law | 2017-03-11 00:40 | 医療