弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

宮崎地裁平成29年3月10日判決,誤って皮内注射し壊死が生じた件で10万円支払を命じる

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宮崎地裁(藤田光代裁判長)は,2017年3月10日,医師が鎮静目的で左太ももに筋肉注射を打つ際,誤って皮内に注射し1センチ大の壊死が生じたことを認定し,宮崎大医学部付属病院に慰謝料10万円の支払いを命じました

毎日新聞「宮崎大付属病院に10万円支払い命令 地裁判決」(2017年3月11日)参照

この件は私が担当したものではありません
注射の角度を小さくしてしまったために皮下注射になってしまった事案のように思います.

注射には,皮内注射,皮下注射,筋肉注射があります.
筋肉注射は,血流にのって早く全身にいきわたります .
高濃度の薬液が皮内注射,皮下にたまったりすると,局所痛・局所障害をもたらすことがあります.
とくに,酸性度が高い薬液は,筋肉注射とされています.
添付文書に,筋肉注射と指示されているものを皮内注射,皮下注射すると,上記報道のように薬液により壊死が生じることがあります.

麻酔における刺激が原因で,気管支閉塞となることがあります.加圧呼吸で対処することが多いのですが,裁判所は,気管チューブを挿入しても空気が行き渡らないと予見するのは困難だった,として,低酸素脳症については,請求を認めませんでした.

谷直樹

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by medical-law | 2017-03-12 22:37 | 医療事故・医療裁判