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公益財団法人日本医療機能評価機構,第7回産科医療補償制度再発防止に関する報告書

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公益財団法人日本医療機能評価機構は,2017年3月29日,「第7回産科医療補償制度再発防止に関する報告書」を発表しました.
「第7回産科医療補償制度再発防止に関する報告書」は,2016年12月末までに公表した1,191件を分析対象とし,とくに「早産について」,「多胎について」の再発防止委員会からの提言を示されています.

早産については,再発防止および産科医療の質の向上のために次の提言がなされています.

(1)妊娠中の母体管理
早産期における妊産婦へ分娩機関に連絡・受診すべき異常徴候(性器出血、腹部緊満感、
腹痛、破水感、胎動減少・消失等)について情報提供を行う。また、必要に応じて、子
宮頸管長の計測を検討する。

(2)胎児管理
ア.切迫早産症状を訴える妊産婦においては、絨毛膜羊膜炎や常位胎盤早期剥離を発症している可能性を念頭において鑑別診断を行う。
イ.切迫早産症状を訴える妊産婦が受診した場合、および切迫早産で管理中の妊産婦が症状の増悪を訴えた場合は、常位胎盤早期剥離との鑑別診断のために分娩監視装置の装着、超音波断層法での胎児健常性の確認を行う。また、必要に応じて、子宮頸管長の計測を検討する。
ウ.全ての産科医療関係者は、胎児心拍数陣痛図の判読能力を高めるよう各施設における院内の勉強会への参加や院外の講習会への参加を行う。また、胎児心拍数陣痛図の正確な判読のために、紙送り速度を3cm/分に統一する。
エ.子宮収縮抑制薬を投与する場合は、添付文書に沿った用法・用量で実施する。
オ.早産児の出生が予測される場合は、必要に応じて院内の小児科や早産児、低出生体
重児の管理が可能な高次医療機関と連携して管理する。

(3)新生児管理
ア.日本版新生児蘇生法(NCPR)ガイドライン2015に従い、保温、酸素濃度に留意して新生児蘇生初期処置を実施する。
イ.早産児出生の際は「新生児蘇生法講習会」修了認定を受けた医療関係者が立ち会うことが望まれる。
ウ.出生後の低血糖、呼吸・循環異常が脳性麻痺の症状を増悪させる可能性があることを認識し、各施設の実情に応じて、出生後の低血糖、呼吸・循環異常が出現した場合の新生児搬送基準も含めた管理指針を作成することが望まれる。


多胎については,再発防止および産科医療の質の向上のために次の提言がなされています.

(1)妊娠管理
ア.多胎妊娠の管理方法(超音波断層法の実施頻度、高次医療機関への紹介・搬送の基準等)について、「産婦人科診療ガイドライン-産科編2014」を参照し、各施設の実情に応じた管理指針を作成することが望まれる。
イ.「産婦人科診療ガイドライン-産科編2014」に準じ、妊娠10週頃までに膜性診断を行う。
ウ.少なくとも2週毎の超音波断層法を行い、胎児発育、羊水量について観察を行う。また、その結果得られた超音波断層法所見については客観的な数値、指標を診療録に記載する。
エ.臍帯付着部位の位置等を参考にし、妊娠期間中、両児の区別が常に一貫して評価できるように診療することが望まれる。

(2)分娩管理
ア.双胎経腟分娩を試行する場合は、先進児娩出後の後続児経腟分娩中に臍帯因子、子宮収縮による絨毛間腔の血流低下、胎盤剥離などで胎児が急速に低酸素状態に陥りやすいことを妊産婦・家族に充分に説明し、同意を得たうえで実施する。
イ.双胎経腟分娩を試行する場合は、後続児の予後が悪いこと、子宮収縮不全による微弱陣痛により単胎に比べて分娩所要時間が延長する可能性が高いことを認識し、各施設に応じた実施基準の作成、および以下の事項を実施する。
・双胎の経腟分娩における先進児への子宮底圧迫法の実施は、胎盤循環不全により後続児の状態が悪化する可能性があることから実施しない。
・両児の胎児心拍数が悪化した状況、または先進児の分娩中に後続児の胎児心拍数が悪化し、先進児の先進部が高い位置にある等で、器械分娩で速やかな児娩出が図れない場合は緊急帝王切開術を検討する。
・多胎の分娩時には連続的に分娩監視装置を装着する。胎児心拍数が正しく記録できない場合はドプラや超音波断層法での確認を行う。特に、第1子娩出後の第II児の胎児心拍数聴取は母体心拍との鑑別を充分に行う。
・先進児娩出後に後続児の胎児心拍数が悪化した場合、最も早く児を娩出させられる方法(外回転、内回転、吸引分娩、鉗子分娩、緊急帝王切開術)を各施設の状況において検討する。
・分娩機関の施設開設者は、多胎の経腟分娩実施にあたって、いつでも緊急帝王切開術に切り替えられる体制を整えることが望まれる。場合によっては、①手術室で経腟分娩を行う、②分娩室で緊急帝王切開術を行うなどの準備を考慮することが望まれる。
ウ.全ての産科医療関係者は、胎児心拍数陣痛図の判読能力を高めるよう各施設における院内の勉強会への参加や院外の講習会への参加を行う。
エ.多胎妊娠では、膜性診断の確定、および吻合血管の有無、占有面積、絨毛膜羊膜炎の有無、卵膜の脆弱性等について検証するために、胎盤病理組織学検査を行うことが望まれる。

(3)新生児管理
多胎分娩は母子ともにハイリスクであることから、「新生児蘇生法講習会」修了認定を受けた医療関係者が複数立ち会うことが望まれる。特に、双胎一児死亡後の分娩の際は出生児の循環血液量不足に対応できる新生児科医等の立ち会いが望まれる。


ご一読をお奨めします.



谷直樹

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by medical-law | 2017-03-31 09:31 | 医療事故・医療裁判