弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

山梨地判平成29年4月18日、術後せん妄を発症してカテーテルや酸素マスクを外し病院を徘徊し死亡した事案で1260万円の支払いを命じる(報道)

山梨地判平成29年4月18日、術後せん妄を発症してカテーテルや酸素マスクを外し病院を徘徊し死亡した事案で1260万円の支払いを命じる(報道)_b0206085_9555651.jpg
産経新聞「術後徘徊で死亡に賠償命令 「防止措置怠る」甲府地裁」(2017年4月18日)は、次のとおり報じました.

「判決によると、男性は平成22年2月24日、直腸がんなどの切除手術を受け、翌日深夜に術後せん妄を発症してカテーテルや酸素マスクを外し病院を徘徊。1階待合室で心肺停止の状態で発見され、間もなく死亡した。

 峯俊之裁判長は判決理由で、80代以上は術後せん妄の発症頻度が特に高いとされていることに触れ「徘徊行動の具体的予見は困難でも、カテーテルを抜くなどの行動は予見できた」と指摘。「病院側は防止措置や術後せん妄に関する必要な検査を怠った過失があった」とした。」


これは、私が担当した事件ではありません.
壮絶な亡くなり方で,心が痛みます.
患者は83歳男性で術後翌日ですので、術後せん妄の予見可能性はあると言えそうです.

なお、術後せん妄の予見義務を否定した裁判例には、63歳の男性についての東京地裁平成21年9月15日判決(高橋譲裁判長)があります.

年齢は,術後せん妄の大きなリスク要因です.



谷直樹

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by medical-law | 2017-04-19 01:00 | 医療事故・医療裁判