週刊女性2017年8月8日号,妻は死去・1歳の息子はいまだに意識不明、相次ぐ無痛分娩事故に夫が心中告白」
週刊女性「妻は死去・1歳の息子はいまだに意識不明、相次ぐ無痛分娩事故に夫が心中告白」(2017年8月8日号,2017年7月25日)は,次のとおり伝えました.
「出産の痛みを麻酔でやわらげ、出産時やその後の疲労などを軽減する無痛分娩。
ここ数年、神戸、京都、大阪で起こっていた無痛分娩が原因の事故が最近になり、相次いで発覚した。
医療事故問題に詳しい弁護士の谷直樹氏は、
「表に出てこないだけで、事故は起きています。以前から事故の報道がされていて、リスクや危険性の認識があれば、医師側も注意深くなったでしょうし、妊婦も慎重になり、新たな事故が防げたかもしれない。問題を隠すとうずもれてしまい、また繰り返す」
と表面化しないことのリスクを指摘。無痛分娩について、
「無痛分娩にもルールはあり、ルールを守り手順を踏めば安全なはずです。ルールを守らない、守れない医師が同じような事故を起こしている」
と、経験や勘に頼りすぎる医師のスキルを疑問視する。
無痛分娩にはいくつかの方法があるが、そのひとつが硬膜外麻酔(下の図参照)。脊髄の近くに薬を投与し、痛みを和らげる方法だ。気をつけなければいけないのは硬膜を破り、その奥のくも膜下に針が到達したときだ。くも膜下腔に麻酔が誤注入されると効きが強すぎて、妊婦は急速に意識をなくし、処置が遅れれば呼吸停止、心停止に至る。
前出の谷弁護士は訴える。
「くも膜下腔に麻酔薬が入っても、異変に気づきその後の注入を止めれば、全身脊椎麻酔になることはまずない。ただ、観察しなければ異変に気づけない」
(中略)
「怒りは消えることはありません。どうか目の届かないところに消えてほしい。本当だったら今ごろ、1歳半になった子どもと家族3人で暮らしていたんです、妻と一緒に、ほらしゃべったとか、立った、とか喜んでいたのに……。悔しいです」(大輔さん)
今回、家族は「第2、第3の被害者を出してはいけない」と公表を決意。厚生労働大臣などにも無痛分娩の医療事故の実態調査などを要望した。
「私たちは無痛分娩を否定するわけじゃない。お産を考えている人は、食事や施設などの表面的なことよりも、医療としてのレベルやリスク管理、そして妊婦ひとりひとりに真摯に向き合ってくれている病院なのか。それを調べたうえで病院や分娩方法を決めてもらいたい」(大輔さん)
命を取り上げる医師の過失で家族は多くを失った。悲しみが残り、医師の怠慢さが癒えることのない傷を作った。
当該クリニックにも取材を申し込み1週間以上待ったが、連絡はなかった。
上記記事の「大輔さん」は仮名です.
谷直樹
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