神戸市西区のクリニックの代理人弁護士が会見し「院内検討委員会報告書」の一部を公表
m3.com「分娩施設集約化は「崩壊決定的に」と危機感 神戸の無痛分娩死亡事故、報告書の一部公表」(2017年8月8日)参照
読売新聞「無痛分娩の女性死亡…神戸の診療所が事故再発防止策、薬量減らして分割投与」(2017年8月9日)参照
「院内検討委員会報告書」は,一般社団法人日本産婦人科協会の役員2人と院内委員2人の計4人が作成したそうです.
しかし,院内委員会が調査することは,遺族には知らされていませんし,報告書の内容も説明されていません.昨日公表された内容も遺族には知らされていません.公益社団法人日本産科婦人科医会でも公益社団法人日本産科婦人科学会でもなく,一般社団法人日本産婦人科協会の役員が加わることも知らされていませんでした.
記者会見では,院内事故調査報告書の再発防止の部分について述べられたようです.
神戸市西区のこのクリニックの再発防止策は,院内調査後から実施されたものなのでしょうか.
事故から最近まで再発防止策が検討実施されていなかったなどということはありえないと思うのですが...
また,麻酔科医の派遣,産婦人科医の複数配置,セミオープンシステムによる分娩施設集約化を現実的でないとし,局所麻酔薬の少量分割投与と、より中毒症状が出にくいとされる薬剤の選択を提言したとのことです.
しかし,局所麻酔薬の少量分割投与しても,アナペインを使用しても,医師が外来の合間に麻酔薬を注入し,患者の様子をみることができないのであれば,このような事故が再び起きてしまうではないでしょうか.もし,麻酔薬を注入したときに,緊急の外来患者が来院したら,常勤医一人だけの医院で適切に対応できるのでしょうか.安全な無痛分娩のためには,医療体制の充実こそが必要と思います.
問題は,薬剤にあるのではなく,体制にあるのではないかと思います.
この事故が日本の産科医療体制の充実につながることを期待いたします.
谷直樹
ブログランキングに参加しています.クリックをお願いします!
↓
にほんブログ村