弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

自殺した産婦人科研修医の労災認定を受け,学会・医会が産婦人科勤務医の勤務環境改善を求める

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東京都内の病院の産婦人科に勤務していた後期研修医(専攻医)が2015年7月に自殺した件について,労働基準監督署は労災と認定しました.
遺族の代理人の川人博先生は,会見し,「医師の過労死や過重労働をなくすために政府も社会も真剣に考えるべきだ」と述べました(NHK「研修医の自殺は過労が原因 労基署が労災認定」(2017年8月9日).
遺族(両親)は,「国の働き方改革において、医師への時間外労働規制の適用が5年先送りにされ、この間に同じような不幸が起きないか懸念されます。医師も人間であり、また労働者でもあり、その労働環境が整備されなければ、このような不幸は繰り返されると思います」としています。」(NHK「研修医の自殺は過労が原因 労基署が労災認定」(2017年8月9日)

公益社団法人日本産科婦人科学会(理事長藤井知行)と公益社団法人日本産婦人科医会(会長木下勝之)は,平成29年8月13日,「声明:日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会は分娩取り扱い病院における産婦人科勤務医の一層の勤務環境改善を求めます。」を発表しました.

「私どもは、これまで産婦人科医を増やすとともに、地域基幹病院の大規模化重点化を推進することを通じて病院在院時間を短縮し、勤務条件を改善するために努力を続けてまいりました。その結果、分娩取扱病院の常勤産婦人科医数は、施設あたり2008年の4.9人から2016年には6.5人へ33%増加しました。しかし、妊娠育児中の医師の割合の増加等により夜間勤務可能な医師数の増加は限定的で、推定月間在院時間の減少率は2008年の317時間から2016年の299時間へ6%にとどまっています。
日本産科婦人科学会は、平成27年度に「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」を策定し、継続的な就労可能な勤務環境を確保することを大きな目的の一つとして、地域基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化の推進を提唱しました。
24時間対応が必要な地域基幹病院の産婦人科では、少人数の体制では、持続可能な体制の維持は不可能、という考え方に基づくものです。人数が多ければ、当直等の負担を軽減することが可能になるとともに弾力的な勤務体制への対応も可能になります。この実現のために私たちはさらに産婦人科を専攻する若き医師たちを増やすとともに、分娩取り扱い病院数の減少も避けられないことを国民の皆さまにご理解いただきたく思います。私どもは、今回改めて強い決意を持って、産婦人科医の勤務環境の改善のためのこの施策を推進してまいります。」


分娩取扱病院の常勤産婦人科医数だけで医療の質を測ることはできませんが,分娩取扱病院の常勤産婦人科医数が少ないと,労働過重になりますし,医療の質も担保できないことになるでしょう.勤務する産科医のためにも,妊産婦のためにも産科医増員とともに,地域基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化は必要です.
産科医増員とともに,地域基幹分娩取扱病院の大規模化・重点化を迅速かつ強力に進めていただきたく思います.



谷直樹

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by medical-law | 2017-08-15 13:39 | 医療