丹青活手妙通神
「丹青活手妙通神」の印が捺されているのは,意外なことに,「群鶏図」ではないのです.
次の4作品です.
「蓮池遊漁図」
鮎9尾が,1尾のオイカワとともに描かれています.
オイカワは,鮎に混じって日本に移入されたそうです.
蓮は,仏教では重要な花ですが,泥に咲く花です.
清流に棲む鮎が蓮池にいるはずはありません.
現実にはあり得ない世界が描かれています.
上からの視点と横からの視点が混在しています.
「池辺群虫図」
縁起の良い瓢箪と多くの虫が描かれています.
虫は,昆虫に限らず,獣,鳥,魚,貝以外の小動物をいいます.
虫は精密に描かれていますが,これもあり得ない世界です.
構図は「蓮池遊漁図」と似ています.
「牡丹小禽図」
濃淡と縁取りによって際立つ牡丹が画面いっぱいに描かれています.
小手毬,蘭は牡丹を引き立てています.
2羽の小禽の視線の先には1匹の虫がいます.
これは獅子身中の虫なのかもしれません.
「百犬図」 .
若冲晩年の「百犬図にも「丹青活手妙通神」の印が捺されています
狗子仏性の公案,つまり犬に仏性があるか,という問いに,有り無しの「無」ではなく,絶対的な「無」で答えた,という話は,若冲の好む画題です.
犬と箒の画はこの公案を示しますが,「百犬図」では,犬が箒の切れっ端をくわえています.
どこにも行けないときは,画集を見て,癒やされています.
谷直樹
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