弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

長野中央病院がベッドからの転落事故で提訴される(報道),

読売新聞「病院ベッドから転落し後遺症…70代男性が提訴」(2017年10月04日)は,次のとおり報じました.

長野中央病院(長野市)で70歳代男性が入院中にベッドから転落し、後遺症が残るけがをしたのは病院側が安全配慮義務を怠ったのが原因として、男性と成年後見人である息子が同病院を経営する長野医療生活協同組合(同)を相手取り、約1828万円の損害賠償を求めて長野地裁に提訴したことがわかった。

 第1回口頭弁論は11日に開かれる予定。

 訴状によると、男性は2016年3月28日にベッドから転落し、右の太ももを骨折するけがをして手術やリハビリを受けたが、自立歩行が困難になった。事故の際、転落防止用の体幹ベルトが適切に固定されておらず、「病院側はベルトが適切に固定されているか否かを確認し、安全を確保する注意義務を怠った」などと主張している。

 同組合は取材に「転落事故と後遺症に因果関係はないと考えている。具体的な主張は裁判で明らかにしたい」としている。」


報道の件は,私が担当したものではありません.
長野中央病院は,医療生協の病院です.

ベッドからの転落事故は以前から多く起きており,病院,介護施設のベッドは家庭用のものより高く,病院,介護施設のでの転落事故は,損害賠償責任が生じるケースもあります.にもかかわらず,再発防止策は十分ではありません.
前橋地判平成25年12月19日では,ベッドに変更し衝撃吸収マットなどを敷いていなかったことが過失とされています.
物理的な転倒防止策をとっていても,見守り不足を理由に責任を認めた判決もあります(東京地判決平成24年3月28日).

報道の件は,転落防止用の体幹ベルトが適切に固定せず,また適切に固定されているか否かを確認しなかったとすれば,注意義務違反があると言えるでしょう.

因果関係については,具体的事案により異なります.転落事故は,因果関係立証が難しいことが少なくありません.例えば,一般的にリハビリテーションを行えば回復する程度の骨折であったが,患者の属性のためにリハビリテーションを行えず回復しなかった場合などが問題になります.

ともあれ,報道の件は,訴訟の帰趨に注目したいと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-10-06 01:24 | 医療事故・医療裁判