弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大阪大医学部付属病院の妊婦健診と分娩の分担連携システムなど新たな取り組み

時事通信「無痛分娩集約を検討=健診と出産「すみ分け」-事故防止へ対応模索・大阪」(2017年10月8日)は次のとおり報じました.

「大阪府和泉市の産婦人科医が書類送検された事故など、無痛分娩(ぶんべん)中の死亡例が相次いで表面化する中、府内の医療機関では、分娩を設備や体制の整った中核病院に集約する試みなど、再発防止への取り組みが進められている。

 大阪大医学部付属病院は無痛分娩希望者を対象に、妊婦健診は提携した地域の個人医院などが行い、出産が近づくと同病院に転院させ分娩する仕組みの導入準備を進めている。
 欧米では、複数の産科医や麻酔科医が24時間体制で対応できる大病院に分娩を集約する「オープンシステム」が一般的だが、日本では地域の医院が健診から出産までを担うことが多い。事故多発の一因には、麻酔技術の不足や緊急時の体制不備があるとされる。
 阪大病院の木村正教授は新たな仕組みについて、「『最後まで同じ先生』でない不安はあるかもしれないが、代わりに高い安全を提供できる」と話す。健診から産後までの具体的な流れや費用面などを詰めている段階で、「地域と協力してモデルケースをつくりたい」と展望を語る。

 分娩中の異変を重大事故につなげないため、訓練に力を注ぐ地域病院もある。大阪府泉佐野市の「谷口病院」は、出血多量や心肺停止で中核病院に搬送が必要な場合の訓練を年に数回実施。谷口武医師は「訓練しておけば、焦らず対応できる」と話す。
 無痛分娩も行うが、麻酔後の経過観察などのチェックは徹底。万一に備え、緊急搬送先の中核病院との連携も日頃から深めている。「どんな施設でも絶対の安全はない。異変が起きた際の対応が求められる」と強調した。
 
 厚生労働省の研究班で長年、出産時の死亡例などを調査する三重大医学部の池田智明教授は「集約が不可能な地方もある。日常的に相談できるなど個人医院のメリットも大きい」と指摘。その上で、望ましい施設を選ぶポイントとして、医師と看護師がリスクを説明しているか▽緊急時の連携体制が十分か▽いつ陣痛が来ても無痛分娩に対応できるか-を挙げる。同教授は「妊婦側も危険性を認識することが必要だ」と話している。」


安全なお産のための取り組みが各病院で進むことを期待します.
同時に,各病院の努力だけではなく,制度的に安全なお産が可能となるように,また妊産婦が施設を選択できる情報を得有られるように,産科医療システム全体についても検討改善すべきと思います.


谷直樹

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by medical-law | 2017-10-09 00:39 | 無痛分娩事故