弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

大学病院,画像診断報告書が共有されず,大腸癌の診断・治療が遅れた事例を公表

医学部附属病院は,平成29年10月19日,画像診断報告書が共有されず,大腸癌の診断・治療が遅れた事例を公表しました.

同病院のサイトに「画像診断報告書が共有されず,大腸癌の診断・治療が遅れた事例について」が掲載されています.

「名古屋大学医学部附属病院(以下「当院」という。)において,2014年1月に行った胸腹部CT検査の画像診断報告書の内容が共有されず,大腸癌の診断・治療が約7カ月遅れた事例が発生しました。患者は大腸癌の診断後,当院において治療を受けておりましたが,2016年9月に同癌の増悪により死亡しました。

当事例は2014年8月15日に当院医療の質・安全管理部に報告され,2014年9月29日に開催された「医療の質向上と安全推進委員会」(長尾能雅委員長)にて審議されました。その結果,先ずは患者の治療に全力を尽くすことと,関係部署内等で調査を行い,その結果を踏まえ再度同委員会において検討を行うことを決定しました。その後,2016年8月24日「医療の質・向上と安全推進委員会」(長尾能雅委員長)にて再度審議され,同委員会は,第三者専門家による詳細な検証が必要と判断し,石黒直樹病院長に事例調査委員会の開催を要請しました。これを受け石黒病院長は,複数の外部専門家を主体とする事例調査委員会の招集を指示しました。事例調査委員会は2017年2月19日,5月1日の計2回開催され,2017年9月26日に調査報告書を取りまとめました。

当院では,この調査結果を受け,当院の診療行為が不適切であったと考え,深く反省するとともに,10月3日に患者さんのご遺族に対し説明を行い,併せて謝罪いたしました。このたび,ご遺族のお許しをいただきましたので,調査報告書の概要を示し,本事例の経緯等について皆様にご報告申し上げます。


患者さんのご遺族にあらためて謝罪申し上げるとともに,上記調査報告書において示された提言を真摯に受け止め,再発防止に職員一丸となって取り組む所存です。」

この件は,私が担当したものではありません.
CTの画像診断報告書を担当医らが確認しなかった,というのは,もっともありがちな癌の見落としです.
検査すべきなのに検査しなかった,精査すべきなのに精査しなかった,という事案は,少ないですが,そのような事案については訴訟になることが多いです.
最も典型的な癌の見落としは,このような院内の連絡ミスです.
患者につねに画像診断書を渡すことが確実な再発防止策です.
患者側でできる防衛方法は,癌ないし癌の芽は誰にでもあると考えてCT画像検査,内視鏡検査などを受け,その結果を把握しておくことだと思います.

谷直樹

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by medical-law | 2017-10-20 10:21 | 医療事故・医療裁判