弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

中津市の病院が新生児の低血糖を見逃した事案で賠償へ(報道)

大分放送「中津市民病院が医療ミスで賠償へ」(2017年11月11日)は次のとおり報じました.

「市民病院で、医療ミスが原因で生まれた子どもが脳性まひになっていたことがわかり、市が母親側に約1億4,000万円の賠償金を支払う方針を決めました。関係者によりますと、2011年、中津市民病院で女性が出産した際、生まれた子どもが低血糖の状態が続き脳性まひになりました。女性から医療ミスを指摘され病院が調査した結果、医師が低血糖を見過ごしていたことがわかりました。病院側は適切な検査や処置をしていれば子どもに障害は残らなかったとして女性におよそ1億4,000万円を支払うことで和解したということです。市は12月の定例市議会で関連議案を提案する方針です。」

上記報道の件は私が担当したものではありません.
低血糖を見過ごすミスは,報道の件以外にも起きています.
例えば,広島地裁平成27年5月12日判決は記憶に新しいものです.,  
各病院はこれを他山の石として再発防止につとめていただきたく思います.

もし2011年市民病院で生まれ脳性麻痺になった子ども,というだけで特定が容易であれば,プライバシーが守られていないと受け取られこともあるかもしれません.
再発防止に役立つ情報はできるだけ具体的に,個人の特定につながる情報はできるだけ抽象的に,というのが発表の基本原則でしょう.


【追記】
NHK「 新生児に処置せず障害残る 市民病院 1億円余の賠償金」(11月13日)は次のとおり報じました.

「生まれたばかりの赤ちゃんの血糖値が低かったのに適切な処置をせず重い障害が残ったとして、大分県中津市が運営する市民病院は1億4000万円の賠償金を支払うことを決めました。
中津市民病院によりますと、6年前に生まれた男の赤ちゃんは、出産直後の検査で血糖値が低いことがわかりましたが、心拍数や呼吸数などは正常の範囲だとして適切な処置を行わなかったということです。
赤ちゃんは生後12時間余りがたっておう吐やショック症状を起こし、改めて検査した結果、低酸素脳症が原因と見られる脳性まひと診断され、その後、手足のまひなどの重い障害が残ったということです。
両親はおととし、病院に損害賠償を求め、病院は「適切な管理を行わなかったことが脳性まひを引き起こした」として1億4000万円の賠償金を支払うことを決めました。
市は関連する議案を市議会に提案することにしています。
是永大輔院長は、「患者や家族の皆様に心よりおわび申し上げます。今回の事例を教訓に適切な診療を行っていきたい」と話しています。
一方、両親は、「一般の産院でもありえない対応により、生まれたばかりの子どもが重度の障害を被り、医療的な対応や療養を中心とした生活を送らざるを得なくなりました。市民病院には今後ともこのようなミスを起こさないとともに、公正適切な医療の提供を望みます」とするコメントを出しました。」


谷直樹

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by medical-law | 2017-11-11 20:25 | 医療事故・医療裁判