弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

『医療基本法 ―患者の権利を見据えた医療制度へ』

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『医療基本法 ―患者の権利を見据えた医療制度へ』(エイデル研究所)を購入しました.

手嶋豊氏(神戸大学大学院法学研究科教授),古城隆雄氏(自治医科大学地域医療学センター 地域医療学部門講師),山口斉昭氏(早稲田大学法学学術院教授),鈴木利廣氏(弁護士、明治大学名誉教授),一家綱邦氏(国立がん研究センター 生命倫理・医事法室長),上杉奈々氏(獨協医科大学教育支援センター 医事法制研究室講師),中村好一氏(自治医科大学公衆衛生学教室教授) が執筆しています.

現在の医療と患者の権利について概観できる,タイムリーな出版です.
鈴木利廣氏は,本書で,(1)医療制度における理念の欠如を指摘しています.
(2)医療現場の混乱も指摘しています.具体的に,①医療事故紛争の増加,②患者・家族と医療者の信頼関係の希薄化,③医療機関の機能連携不足,地域格差,④医療者不足と労働過重,⑤医療の質と量と財政のコントロール問題,⑥医療と介護と生活の分断,⑦終末期医療の混乱,⑧医薬品評価や臨床研究をめぐる問題も指摘しています.
(3)医療における患者の権利侵害対策の未確立も指摘しています.
そして,あるべき医療法構想として,(1)医療制度の目的としての患者の権利保障,(2)医療制度の理念としての高い公共性,(3)基本的施策の方向性,推進体制のあり方としての公共コントロール性,(4)患者の権利保障システムの確立を示唆しています.

谷直樹

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by medical-law | 2017-11-13 08:50 | 医療