弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

福岡県内の小児歯科医院で,2017年7月に虫歯治療後に低酸素脳症となり2歳女児が死亡(報道)

TBS「小児歯科医院で虫歯治療、2歳女児が2日後に死亡」(2018年1月15日)は次のとおり報じました.

「去年7月、福岡県内の小児歯科医院で虫歯を治療した2歳の女の子が低酸素脳症に陥り、2日後に死亡していたことが関係者への取材でわかりました。

 死亡したのは当時2歳だった山口叶愛ちゃんです。叶愛ちゃんは去年7月、福岡県内の小児歯科医院で局所麻酔を使用した虫歯の治療を受けた後、唇が紫色になり、目の焦点が合わない状態になりました。

 関係者によりますと、異変を訴える両親に対し、男性院長は「よくあることだ」と説明して、何の医療措置もとらず、およそ45分後に両親が自力で叶愛ちゃんを近くの病院に運んだということです。叶愛ちゃんはその後、大学病院に救急搬送されましたが、低酸素脳症に陥り、2日後に亡くなりました。

 大学病院から通報を受けた警察は、業務上過失致死の疑いがあるとみて捜査しています。小児歯科医院の院長は「必要な措置はとったと考えている」とコメントしています。」


JCASTニュース「2歳女児「虫歯治療」直後に急死!麻酔で低酸素脳症・・・歯科医処置せず」(2018年1月17日)によると,「スッキリ」での御両親と医師の発言を次のとおり紹介しています.

「約1時間の治療を終えた直後に異変が起きた。付き添っていた両親は「顔を見たら青ざめ目の焦点が合わない。唇は紫色」(母親)、「抱きかかえたら固まった状態。間違いなくおかしいと思った」(父親)と話す。

小児歯科医院の院長に「おかしい」と訴えたが、院長は「よくあることです。泣き疲れたらよくなりますよ」と気にも留めなかったという。しかし、いっこうに回復しないため別の病院に連れて行ったが、その時にはすでに叶愛ちゃんは手足が冷たく、熱も42度もあった。心臓停止で蘇生措置を受けるまで悪化していた。

駒込デンタルオフィスの山本将弘院長は「幼児は鼻で呼吸する習慣がまだ身についていない。拘束されて息がしづらい状態で酸素が体に不足したのではないか」とみる。

呼吸器系に詳しい大谷クリニック(東京・池袋)の大谷義夫院長は「唇が紫色になっているのは、酸素が足りない状況で脳の活動ができなくなっている心不全の状態です。アナフィラキシーになってしまった可能性もあります。麻酔薬によるアレルギーの可能性もあり、全身管理ができる病院にすぐに搬送すべきだった」と話す。」


ご両親の説明からすると,「よくあること」ではないと思います.
2歳児が虫歯治療後に低酸素状態になった原因が究明されることを期待します.

谷直樹

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by medical-law | 2018-01-17 18:22 | 医療事故・医療裁判