医療事故調査の現況
「患者の予期せぬ死亡を対象とする医療事故調査制度を巡り、医療機関側が患者の死亡を事故として、第三者機関に指定された「日本医療安全調査機構」(東京)に届け出るまでに最長で約2年半かかった事例があることが、1日までに機構への取材で分かった。
医療機関側から機構に提出された院内調査結果報告書の分量が1ページしかない事例もあった。事故届け出の判断などは医療機関側に委ねられており、制度の在り方に議論が高まりそうだ。
機構は個別事例は回答できないとしているが、届け出まで長期間を要した事例については「制度の基本から外れる。医療者がより早期に対応する文化を育てることが重要だ」との見解を示した。
制度は2015年10月の開始から4年を経たが、届け出件数自体も想定の年1300~2千件を下回り、毎年300件台と低調に推移している。
機構は15年10月~18年12月の制度の運用状況を分析。期間内の届け出は1234件で、死亡から届け出までの期間は最長911日、最短1日だった。半数以上は死亡から28日以内に届け出ていたが、6カ月以上かかった事例が69件あった。届け出た医療機関の数は全国計17万8492施設(17年の厚生労働省調査)のうち807施設だった。
届け出た医療機関に義務付けられた機構への調査結果報告の件数は908件。報告書の分量は1件平均10.2ページで、最多は157ページ、最少は1ページだった。再発防止が制度導入の目的だが、防止策の記載がなかったものが27件、「防止策なし」としたものが40件あった。
遺族に対する調査結果の説明については、医療機関側が報告書を示した事例が542件。口頭説明だけの事例は199件に上った。また調査の公平性や中立性を担保するため、調査委員会への外部委員参加を努力規定としているが、145件は外部委員を入れていなかった。1件は委員会設置がなかった。」
医療事故に対する医療者の姿勢は変わっていると思いますが,医療事故調査が根付くには時間がかかりそうです.
谷直樹
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