弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2010年 10月 15日 ( 1 )

裁判例から医師の説明義務を考える(4)

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患者の自己決定,選択のために,医師が説明すべき項目,程度について述べます。

前回述べたエホバの証人輸血拒否事件の最高裁判決(最高裁平成12年2月29日判決)は,医師の判断のみならず,その患者が自己決定,選択のためにどのような情報を望んでいるかによって,医師が説明すべき項目,程度が決まるという考え方(複合基準説)をとったものとされています。

すなわち,医師は,医療行為についての一般的な説明に加え,具体的にその患者が自己決定,選択のために重視し欲している情報を説明すべきとされています.
さらに,医師がその患者が重視し欲している情報であることを現実に知らなくても,重視し欲している情報であることを知りうべき状況にあったときは,医師には説明すべき義務があるとされています.

硬膜外麻酔を受けた患者に下肢の疼痛,痺れ等の症状が残った事案で,採用し得る複数の選択肢がある中で,患者の生命,身体に一定程度の危険性を有する措置を行うにあたっては,特段の事情がない限り,患者に対し,当該措置を受けることを決定するための資料とするために,患者の疾患についての診断,実施予定の措置の内容,当該措置に付随する危険性,他に選択可能な措置があれば,その内容と利害得失などについて説明すべき義務があるとされ,また,上記内容に含まれない情報であっても,患者が,特定の具体的な情報を欲していることを,医師が認識し又は認識し得べき状況にあった場合において,その情報が,患者が当該措置を受けるか否か決定するにあたっての重要な情報である場合には,患者の自己決定を可能にするため,患者が欲している当該情報についても説明義務の対象となるものとするのが相当であるとして,これを怠ったことについて,自己決定権侵害として説明義務違反となるものと解するのが相当である,とされています(東京地裁平成20年5月9日判決).



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by medical-law | 2010-10-15 08:42 | 説明義務