弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2010年 12月 22日 ( 1 )

本当は怖い無煙タバコの話

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◆ JTは無煙タバコを全国展開

JTは,現在は東京都と神奈川県でのみ販売している「無煙たばこ」を,来年1月から全国展開するとのことです。

今日の日経新聞に「JT、『無煙たばこ』を全国展開 1月から」という記事が載っています。
引用します。

 「来月上旬に東京、神奈川以外の45道府県のたばこ販売店約4000店で販売。来春以降にスーパーやコンビニエンスストアにも広げる計画だ。
 拡大に合わせて、生産設備を増強。東海工場(静岡県磐田市)の製造ラインを来春までに現在の倍の10程度に増やし、生産能力も倍の月産200万パック(1パックはカートリッジ2本入り)にする見込みだ。投資額は明らかにしていない。同商品は今年5月の発売以降、362万パックを販売した。
 現在はミント風味のみだが、今後は他の味も投入する。」

◆ 無煙タバコの危険性

日経メディカル2009年9月 17日号には,「BMJ誌から無煙タバコも心筋梗塞死亡と脳卒中死亡のリスクを高める」という記事が掲載されていますが,上記日経新聞の記事は,無煙タバコの危険性に一言もふれていません。
煙がなくて一見良さそうに思える無煙タバコが,本当は危険であることを知らない読者も結構いるように思います.

All Aboutの「喫煙者の救世主? 無煙タバコのメリットと注意点」の記事では,次のとおり危険性も指摘されています.

「火をつけないことが有害な物質の発生を劇的に抑えるという客観的な根拠は示されていません。今回の商品には「ゼロ」という文言も入っており、雰囲気として少し弱い様な印象があるかも知れませんが、それはあくまで印象。実際、発売されている商品のパッケージにも、一般のタバコと同じように、健康被害や依存性の警告文書が大きく掲載されています。「無煙タバコ」、以前からある「かぎタバコ(嗅ぎタバコ)」の一種ですが、嗅ぎたばこは口腔がんのリスクを挙げることが知られています。無煙タバコも同様です。

また、受動喫煙についても、無煙タバコを吸った方の呼気(吐く息)に、ニコチンや有害物質が含まれていることは予想されています。このような意味からは、「無煙」であっても、名称に「ゼロ」が含まれていても、タバコは喫煙者自身と周囲の方々への健康被害をもたらすと考えるべきものでしょう。

タバコは大人のたしなみ、嗜好品ではありません。医師から見た実感としては、健康被害と密接に関わる危険性と依存性の高い習慣です。あなたご自身や周囲の方々の健康のためにも、無煙タバコも含め、タバコのない新しい生活を始めることをご決断なさって下さい。」

無煙タバコは,発がん性物質が多く,とくに口腔がん頻度が高いことが知られています,
また,吸った人の吐く息で,受動喫煙がおこります.
詳しくは,「 JT『ゼロスタイル・ミント』の危険性を警告する「 JT『ゼロスタイル・ミント』の危険性を警告する」とその引用文献をご覧ください.

◆ 日本禁煙学会の要請書

日本禁煙学会は,2010年5月20日,「無煙タバコ『ゼロスタイルミント』の販売中止要請書」を出しています。
以下のとおりです.

【要請】
1. 無煙タバコ「ゼロスタイルミント」の販売中止を要請する。
2. 「ゼロスタイルミント」使用が周囲に及ぼす影響(有害物質の呼出・臭気等)が強く懸念されるため、紙巻タバコ等に準じて、禁煙とされている屋内またはそれに準ずる場所における使用を禁止すべきである。

【記】
無煙タバコ(Zero Style Mint)が東京で試験発売されました。パッケージの表には「かぎたばこの使用は、あなたにとって口腔がんの原因の一つとなり、心筋梗塞・脳卒中の危険性を高めます」、裏には「妊娠中のたばこの使用は、胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります」横には小さい字で「本パッケージに記載されている製品名の「zero」並びに本製品の性質・状態を表す「無煙」の表現は、本製品の健康に及ぼす悪影響が他製品と比べて小さいことを意味するものではありません」と書いてあります。
 この製品はタバコの葉を使い、いろいろの添加物を加えた、タバコそのものであります。パッケージを開けると強い異臭があり、ニコチンに接した時のように頭痛が起きます。説明書には「本製品の使用中に気分が悪くなる等の症状が生じた場合には、使用をお控え下さい」とあるように、実際にニコチンが相当量含まれているものと思われます。

 ノースカロライナのウィン教授らによる研究では、このように頬粘膜に触れないタイプの嗅ぎタバコを使用すると、嗅ぎタバコ以外には喫煙していない場合、非喫煙者に比べ4.2倍口腔がんが起こりやすくなると言います。さらに相当量のニコチンが含まれるということですが、血管を収縮し、心筋梗塞あるいは脳卒中を発症することも容易に予見できます。口腔がんは転移が速く、また顔が破壊されていく悲惨な癌です。JTは口腔がんとは何か、どういうことになるのかを、これを吸う人にあらかじめ教える責任があります。

 また、当然のことながら、「ゼロスタイルミント」使用者の呼気にはニコチンや発癌物質などの有害物質が吐き出されるでしょう。周囲の人々は知らず知らずの内に有害物質にさらされ、種々の予期せぬ致死的疾患に見舞われる危険にさらされるかもしれません。
 さらに懸念されるのは、この製品が喫煙できない場所におけるニコチン補給器具となり、健康を守るために一刻も早く禁煙したいと望んでいる大多数の喫煙者の禁煙実行を妨げる役割を果たす恐れがあることです。
 また、この製品が相当量のニコチン摂取を可能とするだけでなく、この製品の使用する姿が紙巻タバコ喫煙と同じであることから、こどもたちを紙巻タバコ喫煙に誘い込む役割を果たす危険も大きいと見なければなりません。

 「ゼロスタイルミント」の使用者への有害性は明らかですから、少なくとも使用者周囲への影響がないことが科学的に証明されない限り、周囲に人がいる場所でのこの製品の使用は禁止すべきです。
 これは実に危険なタバコです。ステルス性が強く、呼出された有害物質を防ぎようがないからです。
 私たちは至急販売の中止を求めるものです。
 それとともに、禁煙区域内での使用を決して容認しないようにお願い申し上げます。


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by medical-law | 2010-12-22 06:50 | タバコ