弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2010年 12月 31日 ( 2 )

「時効直前に不起訴=遺族、検審利用できず」

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時事通信は,12月29日,「時効直前に不起訴=遺族、検審利用できず―専門家の大半、過失指摘―医療事故死」として以下のとおり伝えています.

 「救急車で運ばれた26歳の女性に最低限の検査をせず死亡させたとして、業務上過失致死容疑で書類送検された救急病院の担当医(51)について、東京地検が時効2週間前に嫌疑不十分で不起訴処分としたため、遺族が検察審査会へ申し立てできなかったことが分かった。捜査に協力した専門家の大半は過失を指摘したが、地検は担当医の説明と同じ理由で不起訴とした。遺族は地検から詳しい理由を説明されていないという。
 女性は2005年4月14日夜、激しい腹痛を訴え、東京都世田谷区の2次救急指定病院に入院したが、翌朝死亡。子宮外妊娠による卵管破裂、大量出血が原因だった。
 複数の捜査関係者や地検が遺族側に開示した資料などによると、警視庁は約4年間ほとんど捜査しなかったが09年春に始め、同7月ごろ地検に報告。今年1月には、起訴に向け補充捜査を求められ、態勢を強化した。
 医療過誤事件は、専門家の意見が立証の柱となる。警視庁が見解を求めた少なくとも8人の医師は全員、『最低限の検査をすれば救命できた』と担当医の過失を認めた。
 ところが地検は3月中旬、一転して不起訴とする意向を警視庁に伝え、書類送検時の意見を『厳重処分』にしないよう要請。同庁は意見を変えず同29日に書類送検したが、地検は2日後『急性胃腸炎と考えた』などとした担当医の説明通りの理由で不起訴とした。警察の意見で最も重い厳重処分の事件が不起訴になるのは異例という。(2010/12/29-23:34)」 

警視庁が見解を求めた少なくとも8人の医師は全員『最低限の検査をすれば救命できた』というのですから,因果関係は肯定できるでしょう.
過失(注意義務違反)については.救急車で運ばれた26歳の女性について,子宮外妊娠による卵管破裂,大量出血を考える状況にあったか否かが,ポイントとなります.

何れにしても,迅速に捜査し.すみやかに起訴・不起訴を判断すべきでしょう.検察が時効直前に不起訴にし,検察審査会への申立てができない,という状態を引き起こしたことに疑問を感じる人は多いと思います.「約4年間ほとんど捜査しなかった」というのが事実であれば,捜査当局の問題は大きいと言わざるをえません.


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by medical-law | 2010-12-31 19:26 | 医療事故・医療裁判

医療紛争を適正に解決するために

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医療紛争を適正に解決するためには,(1)患者側が事実を知り医療側と共通の事実を認識をもつことと(2)医療側と実りある話し合いの場をもつことが必要です.

事実を知り共通の認識をもつためには,たとえば,次の方法があります.

①医師に説明を求める
②カルテ開示を求める
③事故調査委員会設置・事故調査を求める
④死亡時画像診断,解剖を依頼する
⑤患者会に入り,病気・治療等についての情報を入手する

実りある話し合いの場をもつためには,たとえば,次の方法があります.

①疑問点を整理する
②時間をとってもらい,病院と話し合いを行う
③弁護士会等の医療ADRを申し立てる,(病院が防衛的になっていて,話し合いの場がもてないときには.話し合いの場として医療ADRが活用できます.) 

これらの解決手段は,代理人弁護士を必要とせず,患者.家族ご自身でできますし,医療側が誠実に対応すれば,それで解決に至るはずです.
なお,もし疑問があれば,医療事件に詳しい弁護士は,金銭補償を念頭においた裁判手続きだけではなく,裁判外の解決手段を熟知していますので,弁護士に相談するとよいと思います.

また,不幸にして,医療側の対応が防衛的で,事実を明らかにしようとしない,話し合いに誠意がみられない,などの場合には,弁護士による証拠保全・調査も解決手段の1つとなるでしょう.
すみやかに適正な解決を実現するためには,医療事件に詳しい弁護士に早期に相談することをお奨めします.


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by medical-law | 2010-12-31 19:07 | 医療事故・医療裁判