弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 01月 05日 ( 1 )

『うそをつかない医療』

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司法修習生のとき綺麗な鳥の写真を撮り,刑事部の裁判官に見せたところ,鷽(ウソ)の写真を撮るとは何事だ,と叱られました。私は,裁判官が鷽を知っていたことに驚きましたが...その裁判官は,高裁を任期終了退官し,今は簡易裁判所判事になっています.

さて,『うそをつかない医療』という本の話です.
著者の豊田郁子さんは,医療事故により長男を亡くした医療被害者です.さらに,事故後の対応で深く傷つきました.その後,新葛飾病院にセーフティー・マネージャーとして入り,医療安全と患者支援の仕事をし,患者と医療者をつなぐ仕事をしています.

新葛飾病院の清水院長の3原則は次のとおりです.

うそをつかない
情報を開示する
ミスがあれば謝罪する

明快です。
現実には,これができていない病院がまだまだあるようですが.

医療事故は,被害者に強い心理的負担を及ぼします.医療者も傷つきます.両者にケアが必要です.そのケアは,同じ事故に向き合う被害者と医療者のコミュニケーションによって実現されます.安全対策担当者,相談員は,そのコミュニケーションの媒介役として必要とされています.病院が,事故調査を行い,問題を掘り下げ,再発防止の措置をとる,そして,それを知ることで,被害者の気持は変わります.

もし,このことが分からないリスクマネージャーがいたら,何1つ解決することはできないでしょう.病院が,逃げている,ごまかしている,と感じさせるような対応をしたら,誰でも不信を募らせるでしょう.

この本は,何をどうすればいいのか,明確な道を示しています。
医療にかかわる人,とくに医療紛争にかかわる人すべてに読んでほしい本です.

患者側弁護士の仕事を損害賠償と誤解しているむきもあるようですが,そうではありません.
患者側弁護士は,まず事実を明らかにして,医療事故の原因を解明し,医療側に責任があれば謝罪を求める,不充分なところがあれば事故の再発防止を提案する,など解決のために活動しています.その1つとして,金銭賠償も含まれるのです.
豊田さんの仕事と私の仕事とは,本質的に大きな違いはないと思いました.

谷直樹
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by medical-law | 2011-01-05 21:36 | 医療