弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 01月 14日 ( 2 )

イレッサ訴訟,「和解勧告及び所見」の正確な内容

b0206085_19312932.jpg

東京地裁と大阪地裁の「和解勧告及び所見」は,決して,承認後に副作用による多数の死亡が発生した事実に基づき事後的に承認を違法と判断するものではありません.
承認前から,個人輸入などによる副作用情報等から,間質性肺炎で死にいたる危険性が分からなかったわけではないこと,承認前に分かっていた危険性を的確に伝えなかったことを問題にしています.

朝日新聞は,1月14日,「イレッサ和解勧告『治験以外の副作用、検討必要だった』」と報じました.

「朝日新聞が入手した『和解勧告及び所見』では、薬として販売承認を得るための国内臨床試験(治験)以外で発生した副作用情報の扱いについて、見解を示していた。治験以外の、個人輸入などによる副作用情報も、国が慎重に検討していれば、間質性肺炎で死にいたる危険性も『読み取ることができなかったとはいえない』と指摘。医師向けの薬の説明文(添付文書)で、注意喚起に不備があったとした。

 イレッサ承認時の添付文書の『重大な副作用』欄では、間質性肺炎は重度の下痢、肝機能障害などに続いて、最後の4番目に記されていた。この点について『重要でないと読まれる可能性があった』と記述。最初に記した上で『致死的になりうることを記載するよう行政指導するべきだった』と指摘、国の責任に言及している。

 大阪地裁が東京地裁と同時に示した和解勧告でも、国は、治験以外でも間質性肺炎の情報が複数あったことなどから、『重大な副作用』欄への記載を指導するだけでなく、「より慎重な対応をとり得たのではないか」としている。」


国は,これで承認が遅れるとか,承認後に承認前には分からなかったことまで責任をとらされることになる,という趣旨のコメントを行っていましたが,このコメントは,裁判所の『和解勧告及び所見』を曲解するものだと言えます.
裁判所の『和解勧告及び所見』は正当であり,国は和解勧告を受け入れるべきと思います.

なお,全国保険医団体連合会もホームページに「薬害根絶のための検証と対策を――薬害イレッサ訴訟の和解勧告を歓迎する」 と載せ,「重大な副作用である間質性肺炎についての十分な注意喚起を行わず、薬害イレッサ事件を起こした国と製薬企業は、勧告を真摯に受け止め和解協議に応じるとともに、薬害根絶のための検証と対策に取り組むべきである。」としています.

谷直樹
にほんブログ村の弁護士の部に参加しています.更新の励みになりますので下記バナーのクリックをお願いします.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログ 医療事故・医療訴訟へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-01-14 19:31 | 医療事故・医療裁判

患者の心得7か条

b0206085_1737337.jpg

患者の権利オンブズマン東京は,「医療安全・患者の心得7か条の提言」を行っています.
「医療安全・患者の心得7か条」をご紹介します.

◆ (1)わからないこと、不審なことはすべてよく聴きましょう

初めて病院を訪れたときなどはわからないことだらけです。医師の説明も専門用語で話されては理解できません。そんなときは遠慮しないで納得できるまでよく聴きましょう。

◆ (2)自分の不安・悩み・希望と意思をはっきり伝えましょう

患者が症状や希望をはっきり言わなければ医師は的確な診療ができません。また患者は自分の体ですから自己決定権があり、診療方針に同意する、しないを明確にすべきです。

◆ (3)容態の変化は黙っていないで早く知らせましょう

医療者は常に患者についているわけではないので、具合が悪いときはすぐに知らせましょう。

◆ (4)医療者には自分から名前を名乗りましょう
 
患者の取り違えを防ぐにはこれも有効な方法です。

◆ (5)お薬・注射はできればその都度自分でも確かめましょう

医療事故の多くは薬・注射の間違いなので、患者も確認することが大切です。    

◆ (6)体や意識が弱った状態でベッドから離れるときは転ばないよう気をつけ、僅かな不安で も必ず看護師を呼びましょう

転倒・転落の事故も多いのです。特にお年寄りの場合は絶対に気をつけましょう。  

◆ (7)意識がなくなったときの治療の要望をわかるようにしておきましょう
 
治療は本人の意思を最大限尊重して行われます。いわゆる植物状態になったときは本人の意思を確認できず、家族も本人の意思を正しく代弁できるとは限らないのですから。


もちろん.これらは患者の義務ではありませんが,医療安全のためには,このようなことに気をつけるほうがよいように思います.

谷直樹
にほんブログ村の弁護士の部に参加しています.更新の励みになりますので下記バナーのクリックをお願いします.

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士へ
にほんブログ村
にほんブログ村 病気ブログ 医療事故・医療訴訟へ
にほんブログ村
by medical-law | 2011-01-14 17:37 | オンブズマン