弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 01月 22日 ( 1 )

医療観察法下の高い自殺率が示唆するもの

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今朝の東京新聞は,「医療観察法下 高い自殺率 5年で17人」と報じています.

 「殺人や傷害事件などを起こし、心神喪失などで不起訴処分や無罪になった場合に適用される「医療観察法」で入院、通院の処遇を受けた人は二〇〇五年七月の法施行から五年間で千四百二人に上り、うち十七人が自殺していたことが分かった。」
 「一年前に精神保健指定医の研修会で発表された資料によると、同法で入院中の自殺未遂件数は既遂の約十倍という指摘もあった。
 全処遇者の1%を超える自殺者数について、法務省保護局の担当者は『事件後という特殊な状況で、一般精神障害者の自殺とは比較できない』と話す。
 だが、精神科医療史研究会の世話人を務める岡田靖雄医師は『高い自殺率』と評した上で、『事件当時を無理に振り返らせる治療法などに重大な欠陥があるのでは』と詳しい検証を求めている。」と報じています.

「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律」(医療観察法)は,2003年に成立し,2005年7月15日から施行されました.
同法成立前から,重大な人権侵害の懸念が表明され,「らい予防法」の過ちを繰り返すことになるという意見もありました.

同法第1条は「この法律は、心神喪失等の状態で重大な他害行為(他人に害を及ぼす行為をいう。以下同じ。)を行った者に対し、その適切な処遇を決定するための手続等を定めることにより、継続的かつ適切な医療並びにその確保のために必要な観察及び指導を行うことによって、その病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進することを目的とする。」と規定しています.
社会復帰を目的とした適切な医療が行われる建前なのです.
しかし,その実態は明らかにされていません.

根本的に強制医療の問題があるうえに,高い自殺率は,実際に行われている医療が適切ではない可能性があることを示唆しています.
基本的に廃止すべき法律ですが,すくなくとも自殺に至る過程を明らかにし,第三者が医療の実態・合理性を検証する必要があるように思います.


谷直樹
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by medical-law | 2011-01-22 09:33 | 医療