弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 02月 06日 ( 1 )

日本再生医療学会,正規の手続きを経ず不適切な幹細胞治療が行われていることに警鐘

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日本再生医療学会は,ヒト幹細胞を用いた医療について,平成23年1月26日「声明文」を発表しました.マスコミ各社が報道しています.
日本再生医療学会は,ヒト幹細胞を用いた医療は、まだまだ安全性を含む色々な課題を持っていることから、科学的根拠が低く安全性を考慮しない所謂、『未承認の再生・細胞医療』であると述べ現状に憂慮を表明しています.

◆ 現状

「国内の医療現場においては、『医師の裁量権』を根拠に、ヒト幹指針の遵守や薬事法に基づく治験等の申請といった安全性の確保等のための正規の手続きを経ず、幹細胞の輸注、投与、移植等の所謂、再生・細胞医療と称する行為が行われている実態があります。また、不適切な幹細胞治療が行われ、その結果、種々の医療事故等が発生しています。」

「世界には『tax haven』と呼ばれる租税回避地として利用される国がありますが、日本が他国から幹細胞治療分野において『therapeutic haven』として利用される(既にされつつある)ことが非常に危惧されます。」

◆ 会員医師に対し

「本会会員に対しては、患者の安全性の確保と早期の再生医療の適正な実用化のために各種法令、通知、告示、ガイドライン等を遵守し、未認可の幹細胞を用いた医療行為に関与しないことを求めます。 」

◆ 患者.家族に対し

 「根拠なく所謂、『未承認の再生・細胞医療』を謳う診療行為を安易に受診せず、治療を行う医療機関が当該治療に関して公的機関から承認されているか、もしくは臨床研究や治験の承認等を受けていることを確認した上で判断されることを推奨します。」

さらに,「幹細胞治療について患者ハンドブック」の日本語版PDFファイルを紹介しています.
http://www.isscr.org/clinical_trans/pdfs/ISSCR_PatientPrimerHndbk_Japanese_FNL.pdf

◆ 行政に対し

「未だ研究段階である自家細胞・組織等を用いた再生・細胞医療等に対して、臨床研究から治験、診療報酬評価に至る遅滞ない推進を可能とする体制・制度を確立し国民への早期の技術還元の実現を図ることを要望します。また、前述のような患者の安全性を無視し日本医療の信頼を根幹から揺るがすような所謂、「未承認の再生・細胞医療」に対して医療法、薬事法等の改正等を推進し適切な新しい医療提供体制の構築による患者(国民)の安全性を早急に確保することを強く切望します。」(以上「声明文」より),


このように患者の安全性を考慮するのは学会として当然のことですが,イレッサについての2学会の対応とは好対照です.


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谷直樹
by medical-law | 2011-02-06 22:39 | 医療