弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 02月 25日 ( 3 )

イレッサ,大阪地裁は企業の賠償責任だけを認めました

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イレッサ訴訟で,大阪地方裁判所は,製薬会社に約6000万円の賠償を命じる判決を下しました.
意外なことに,薬を承認した国の責任を認めませんでした.
その論理は,おおよそ以下のとおりです.(判決要旨)

「1 イレッサの有効性
イレッサの有効性は,平成14年7月の輸入承認時及び現在のいずれにおいても,肯定することができる。

2 イレッサの輸入承認時における間質性肺炎等についての認識可能性
平成14年7月のイレッサの輸入承認当時,治験その他の臨床試験の結果等から,死に至る可能性がある間質性肺炎等を発症する危険性についての認識可能性があった。

3 イレッサの有用性
イレッサは,平成14年7月の輸入承認時及び現在のいずれにおいても,また,セカンドライン及びファーストラインのいずれにおいても,その有用性を肯定することができる。

4 被告会社の責任
被告会社は,少なくとも第1版添付文書の重大な副作用欄の最初に間質性肺炎を記載すべきであり,また,イレッサとの関連性が否定できない間質性肺炎が致死的な転帰をたどる可能性があったことについて警告欄に記載して注意換気起を図るべきであった。そのような注意換起が図られないまま販売されたイレッサは,抗がん剤として通常有すべき安全性を欠いていたといわざるを得ず,平成14年7月当時のイレッサには,製造物責任法上のいわゆる指示・警告上の欠陥があったと認められる。

5 被告国の責任
平成14年7月の輸入承認当時,イレッサの有用性を認めることができ,また,輸入承認前後の安全性確保についての被告国の対応が著しく合理性を欠くものとは認められないから,被告国には,イレッサの輸入を承認したことや承認前後に必要な安全性確保のための権限を行使しなかったことについて国家賠償法上の違法はない。

6 因果関係
死亡した3名のうち2名の患者及び1名の原告の間質性肺炎の発症等とイレッサの服用との相当因果関係は認められる。」

MSN産経ニュース「国の『不作為責任」』は認めず 大阪地裁『合理性認められる』」によると,以下のとおりです.

「判決は、ア社作成の初版の添付文書で、市販後に続発した『間質性肺炎』が2ページ目の4番目に記載されたことを重視し、冒頭・赤枠の警告欄に載せなかったことで『抗がん剤としての安全性を欠いていた』と指摘。イレッサが承認・市販された平成14年7月から、肺炎の記載を警告欄に引き上げた同年10月15日までの期間で製造物責任法上の『指示警告の欠陥』を認定し、原告のうち9人の請求を認めた。
一方で、国がそれ以前に行政指導しなかった点については「当時の医学的知見からは一応の合理性が認められる」と判断し、原告側が主張した『不作為責任』を退けた。」


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谷直樹
by medical-law | 2011-02-25 16:35 | 医療事故・医療裁判

「手術数でわかるいい病院2011」(週刊朝日MOOK)

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週刊朝日MOOKの「手術数でわかるいい病院」は結構読まれているようです.

手術の症例数を調査してランキングを決めることには,抵抗を感じる医師,医療機関も多いと思いますが,患者にとっては分かりやすい参考指標です.
手術数の多い病院は,患者が集まっている病院で,いい病院だから患者が集まっている,また同種手術経験を積んだ医師がいる,という推定は,あながち間違いではないでしょう.
これで決めるというのではなく,「参考」という見方をするかぎり,また手術をするその医師の経験に注目するかぎり,有用と思います.

取材に応じ,「Q 医療事故にあったらどうすればいいの?」に対し,(弁護士に相談するのは知っていると思いますので)「A 弁護士への相談以外にも解決できる方法がある」という答えをしました.事故調査委員会,医療ADRという解決方法もあることをお話しました.
私の話は287頁に載っています.機会があったら見てください.

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谷直樹
by medical-law | 2011-02-25 14:18 | 医療

2月26日第8回日本小児科学会倫理委員会公開フォーラム

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明日2月26日,第8回日本小児科学会倫理委員会公開フォーラムが開かれるそうです.
重篤な疾患を持つ子どもの治療方針決定のあり方─話し合いのガイドラインの提案─」がテーマです.

事前申し込み不要で,誰でも参加できます.

日時:2011年2月26日(土曜日)13時30分~17時(開場:13時)
会場:早稲田大学総合学術情報センター 国際会議場 井深大記念ホール
主催:日本小児科学会倫理委員会


第I部 日本小児科学会終末期医療ガイドラインワーキンググループ(13時30分~14時50分)

司会:加部 一彦(恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院)・河原 直人(早稲田大学総合研究機構・研究院)

加部 一彦(恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院)
「重篤な疾患を持つ子どもの医療をめぐる話し合いのガイドライン」:提案までの経過
鍛冶 有登(大阪市立総合医療センター救命救急センター)
「子どもの死と向き合う-救急の立場から」
辰井 聡子(明治学院大学法学部)「小児終末期医療と法」
野辺 明子(先天性四肢障害児父母の会)「子どものいのちを守り、家族を支えるために」

第II部 指定討論(成育医療研究委託費「小児における看取りの医療に関する研究」班)(15時~15時50分)

司会:伊藤 龍子(独立行政法人国立看護大学校)

西畠  信(総合病院鹿児島生協病院)「小児の看取りの医療に関する調査報告 一次・二次調査結果」
清水 称喜(兵庫県立子ども病院)「小児の看取りの医療における看護」
阪井 裕一(国立成育医療研究センター・主任研究者)「小児の看取りの医療に関する提言に向けて」

第III部 総合討論(16時~17時)

司会:加部 一彦(恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院)・河原 直人(早稲田大学総合研究機構・研究院)

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谷直樹
by medical-law | 2011-02-25 08:55 | 医療