弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 03月 21日 ( 2 )

平成23年3月9日の医療事件の判決

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この間,判決報道が少なかったので,2件だけ紹介します.

◆ 広島高裁平成23年3月9日判決(期待権逆転勝訴事件)

2001年12月23日未明自宅で胸の発作が起きた男性(当時52歳)の妻が救急車を呼び,救急隊員は男性の通院先になっている市民病院の救命救急センターに電話をかけたのですが,救急センターの電話機のコンセントが抜けていたため電話がつながらず,5分後に男性の呼吸は停止した事案です.県立広島病院から満床を理由に受け入れを拒否され,広島大病院で蘇生措置を受けました.男性は,重い脳障害が残り1審判決後に死亡しました。

広島高裁は,「蘇生措置があと1~4分早ければ障害が軽くなる可能性があった」と判断し,救命救急センターの電話機のコンセントが外れていたことについて「緊急を要する患者の生命を軽視しており、救急医療機関として著しい過失」があるとし,患者の期待権を侵害したと認定し,約550万円の損害賠償義務を認めました.

地裁では患者側の全面敗訴でしたが,高裁は障害が軽くなる可能性があったことから,期待権侵害を認めました.

広島市が逆転敗訴 救急搬送訴訟「慰謝料」550万円 高裁判決」(msn産経ニュース)ご参照
「損賠訴訟:搬送遅れ脳に障害 電話不通「著しい過失」、広島市に賠償命令 /広島」(毎日新聞)ご参照

◆ 名古屋地裁平成23年3月9日判決(インプラント治療継続事件)

2005年7月,津市の歯科医院でインプラント治療を受けた患者が,手術ミスで炎症を起こすなどし,別の病院でインプラントを除去した事案です.

名古屋地裁は,「診察結果から、医師はインプラント治療が困難と認識していたのに治療を継続した」とし,約310万円の損害賠償義務を認めました.

歯科医院側は,患者が治療を強く希望した,と主張しましたが,名古屋地裁は「困難と判断したなら、患者の意向に左右されず、要求されても断るべきだった」としています.

インプラントミスで賠償「困難と認識も治療継続」 名古屋地裁 」(msn産経ニュース)ご参照

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谷直樹
by medical-law | 2011-03-21 14:26 | 医療事故・医療裁判

「大震災時の薬物療法の注意点」

NPO法人医薬ビジランスセンターの『薬のチェックは命のチェック』インターネット速報版No142に,「大震災時の薬物療法の注意点」が載っています.

「継続を要する薬剤はあるとしても、急を要しない薬剤、中止可能な薬剤を知っておく必要があるでしょう。また、この時期には中止しないと危険な薬剤があります。薬剤が流されて、何日か服用できず離脱症状を起こす可能性のある薬剤(睡眠剤、安定剤、抗うつ剤、ステロイド剤)、食糧不足のために薬剤を服用していなくても血中濃度が上昇しうる危険な薬剤もあります(抗精神病剤など)。さらには、急場にどうしても必要があって一時的に使用したとしても、安定剤や睡眠剤など依存に陥る可能性のある薬剤は、不要になればできる限り早く離脱を考える必要があります。一時中断後、再開に際して、特に注意を要する薬剤もあります(抗うつ剤、リファンピシン、甲状腺ホルモンなど)。これらの薬剤を区別しておくことが非常に重要と考えます。」
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リンク先で,詳細を確認してください.

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谷直樹
by medical-law | 2011-03-21 09:22 | 医療