弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 04月 16日 ( 2 )

佐賀地裁平成23年3月25日判決(高濃度酸素治療中の火災)

b0206085_23494281.jpg平成18年11月22日夜,佐賀大医学部付属病院に気管支喘息で入院中の重度の身体障がいのある患者(当時10歳)の顔に治療用の高濃度の酸素が吹きかけられていたところ,毛布が燃え,患者が頭や手足などに重い火傷を負った事案です,

患者側は,患者と毛布の間に治療用酸素がたまり,静電気で火災が起きた,とし,安全配慮義務違反を主張しました.

佐賀地裁は平成23年3月25日「火災の原因は不明で,安全配慮義務違反があったとは認められない」とし,請求を棄却しました.

毎日新聞平成23年3月26日「佐賀大病院ぼや:やけど損賠訴訟 原告の訴えを棄却--佐賀地裁 /佐賀」ご参照

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谷直樹
by medical-law | 2011-04-16 23:44 | 医療事故・医療裁判

大阪地裁平成23年4月15日判決(貝塚中央病院患者拘束死事件)

b0206085_19571189.jpg貝塚中央病院(精神科)で,平成20年1月,病室で腹部だけ装着した拘束帯で宙づりになり意識不明で発見された男性患者(当時49歳)が,救急搬送されましたが,腸管壊死のために同年3月に亡くなった事案です.

この拘束は,精神保健指定医の指示に基づかない身体拘束でした(精神保健福祉法違反)。それを隠蔽するため,病院では,カルテ,看護記録,事故報告書の改ざんが行われました。

弁護側は,被告人看護師が拘束したのではなく,他の看護師が拘束した,とし,無罪を主張しました.

大阪地裁は,4月15日、被告人看護師が拘束したと認定し,業務上過失致死罪に問われた被告人に,懲役2年6月執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決を言い渡しました.
大阪地裁は,「精神保健指定医の指示がないまま危険な方法で患者を拘束し、死亡させた結果は重大で、医療行為としての正当性を欠く」としました.
また,病院側がカルテを改ざんし違法な拘束を隠蔽するなど組織の体質の問題も背景にあったと認定し,被告人に有利な事情としました.

被告人看護師が拘束したと裁判所が認定した理由を知りたいのですが,残念ながら報道されていません.
また,カルテ改ざんが行われると,被告人看護師に有利な事情として斟酌され刑が軽くなる,というのも変な話ですが,カルテ改ざんの関係では,理事長らが不起訴となっていることとの均衡を考慮したのでしょう.
刑事事件は,基本的に行為者個人の責任を問うものであることもあり,検察は,病院ぐるみの行為に対しては及び腰のところがあるようです.

刑事事件では拘束行為と死亡との間の相当因果関係が認められていますが,損害賠償を求めた民事裁判では,病院側は,患者の全身状態が元々悪かったとして拘束行為と患者の死亡との間の相当因果関係を争っているそうです.

【追記】 カルテを改ざんし,虚偽の記述をするよう指示した理事長は,平成23年4月1日付で解任されました。

msn産経ニュース「患者拘束死、看護師に有罪判決 大阪地裁」ご参照
行動制限最小化研究会「貝塚中央病院裁判」ご参照

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谷直樹
by medical-law | 2011-04-16 19:48 | 医療事故・医療裁判