弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 05月 15日 ( 2 )

ホワイトカラーの犯罪

b0206085_21532736.jpgヘッジファンド大手ガリオン・グループ創業者のラジ・ラジャラトナムRaj Rajaratnam
氏は,5月11日,連邦地裁で,証券詐欺と共同謀議(14件)で有罪の評決を受けました.

マッキンゼーの代表社員アニル・クマール氏,ゴールドマン・サックスの社外取締役グプタ氏,インテル・キャピタルの戦略投資担当ディレクターラジブ・ゴール氏,IBMのロバート・モファット氏らが関与し,まさに資本主義の中心で行われたインサイダー取引ですので,影響は大きいでしょう.

ウォールストリート・ジャーナルは,「1980年代のインサイダー取引の主要舞台はニューヨークのプラザホテルだったが、現代の舞台はスターバックスで、ガリオン事件では少なくとも2回同店が使われた。」と述べています,
これに関連して,ウォールストリート・ジャーナルは,近年のホワイトカラー犯罪を掲載しています.

元NASDAQ会長・バーナード・マドフ証券投資会社の会長兼CEOだったバーナード・マドフ氏は,ポンチ・スキームを30年続け,詐欺・資金洗浄などの罪により禁固150年.(誤記ではありません.本当に150年です.)

ワールドコムの元CEOバーナード・エバーズ氏は,粉飾決算で,禁固25年.

エンロンの元社長ジェフリー・スキリング氏は,インサイダー取引等で,禁固24 年.

ホリンジャー・インターナショナルの元CEOコンラッド・ブラック氏は,詐欺・横領で,禁固6年6カ月.

ヘルスサウスの元CEOリチャード・スクラッシー氏は,不正会計で,禁固約7年.

タイコ・インターナショナルの元CEOデニス・コズロウスキ氏は,証券詐欺等で,禁固8年から25年.

中国系アメリカ実業家ノーマン・シュー氏は,虚偽の投資話を持ちかけたなどの詐欺罪で,禁固最低24年.

( WSJ「米ホワイトカラー犯罪」ご参照)

コンラッド・ブラック氏やリチャード・スクラッシー氏は軽い刑ですんでいますが(テレビ番組「CSI」の影響という説もあります.),全体としては日本とは比べものになりません,
こうしてみると,映画『ウォール・ストリート』の1と2の間が23年空いているのは,リアリティがありますね.

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-15 21:54 | 司法

東電救済スキームとモラルハザード

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政府の東電救済スキームは,預金保険機構で銀行を保護したように,機構を作り,公的資金を注入し,東電を絶対に潰さない,というものです.

負担を求められた融資銀行は,株主責任も問われていないのに,なぜ銀行負担を求めてくるのか理解できない。順番が違う,と述べています(MUFGの永易克典社長など).

外資系証券会社幹部も,つぎのとおり疑問を述べています,

「「リスク・リターンの原則もないがしろ。究極のモラルハザード案」(外資系証券幹部)との指摘も出ている。
別の外資系証券幹部は今回の政府のスキームについて「海外の投資家には理解できないスキームになっている」と指摘する。巨額の賠償債務を抱えることになった東電は、通常ならまず株式が最初にき損することになる。東電の株主資本は約2.5兆円ある一方で、賠償額の総額は現時点で判明していないものの、政府は5兆円のシミュレーションを作成している。少なくとも2.5兆円を超える賠償債務を追った時点で株式は100%減資となり、次に貸出金や社債がき損していく順番をたどるのが、市場原理に基づいた通常の破綻処理のケースだ。」
(ロイター「東電賠償スキーム、事実上株主・社債権者などを免責」ご参照)

株主,社債権者は,リスクを承知で投資しているのですから,債務超過による不利益を負うべきでしょう.
機構を作り,税金を投入して東電が絶対に潰れないシステムを作るのでは,モラルハザードを招くでしょう.
東電は,政治とマスコミに強い影響力をもち,原発推進の立場を変えていないのですから,東電の力を残すことになると,今後のエネルギー政策に歪みが生じるおそれがあります.
実際,東電擁護の発言を繰り返している経団連の米倉弘昌会長は,13日,北京で,「なぜ東電だけが責任を問われるのか」と述べました.

東電は,破綻に直面させる必要があると思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-15 11:44 | 脱原発