弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 05月 21日 ( 3 )

岡山地裁平成23年5月18日判決(左右間違えて開頭手術)

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◆ 事案

倉敷中央病院で,平成13年11月,左目の視力低下のため「前頭側頭開頭術」を実施しましたが,本来左側頭部を手術しなければならないのに右側頭部を開頭し,ミスに気付いて左側頭部を開頭手術し直し,視力低下が回復した事案です.

◆ 岡山地裁平成23年5月18日判決

岡山地裁は,「必要のない手術を行った注意義務違反があることは否定できず,精神的肉体的苦痛を与えた」と指摘し,330万円の損害賠償を命じました.

なお,手術後に口が開きにくくなったとする原告の主張については「因果関係は認められない」と退けました.

◆ 感想

本判決は,不要な開頭手術の損害額評価について,参考になります.

大垣市民病院でも,平成20年6月に左右間違えての開頭手術がありました.
また,左右を間違えた神の手福島孝徳医師は,死亡と因果関係がない,として争っていますが,この岡山地裁の裁判例からすると,仮に死亡と因果関係がなくても,慰謝料等330万円は支払わねばならない,ということになります.

日刊スポーツ「開頭手術で左右間違え…病院に賠償命令」ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-21 19:33 | 医療事故・医療裁判

いじめ自殺事件判決,市邨学園は即日控訴

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名古屋地裁平成23年5月20日判決は,名古屋経済大市邨中時で平成14年に受けたいじめが「耐え難い精神的苦痛を与え,心身に異常を生じさせるに十分な行為だった」とし,いじめに起因する解離性障害(多重人格)を起こし,平成18年8月自殺した,と認定し,約1491万円の損害賠償を命じました.

被告の学校法人市邨学園は,同級生によるいたずらはあったがいじめではない,といじめそのもの否認し,また,いじめがあっても自殺との因果関係がないと争っていました.

学校法人市邨学園は,「詳細な判決文が届いていないので,コメントは差し控える」とのことですが,判決に対し即日控訴しました.

判決は,証拠から,いじめがあったと認定し,いじめと自殺との因果関係を認めているのですから,まず判決文を読んでいただきたかったと思います.
判決文を仔細に検討し証拠上おかしな事実認定などがあれば控訴するのはよいですが,判決文を検討することなくただちに控訴,という対応は,聞く耳を全くもたない印象をうけます.
なにかと問題が指摘される市邨学園ですが,やはり学園の体質なのでしょうか.

毎日新聞「<岩倉・少女自殺>中学時のいじめ原因…学園側に賠償命令」ご参照

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by medical-law | 2011-05-21 08:45 | 司法

薬害オンブズパースン会議が「注目情報」を更新

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薬害オンブズパースン会議が,5月20日,以下5件の「注目情報」を掲載しました。
関心のある方は,ご一読をお奨めします.

● オーストラリアの学会誌が製薬企業広告を載せないことを表明
EMA(オーストラリア救急医学)誌は2011年2月の論説で今後製薬企業の広告を載せないことを宣言した。

● FDAが情報公開について第三次提言を行う ー規制する製薬企業に向けて
FDAが企業向けに今後行うべき5つの提案とその具体的な行動項目(19項目)が書かれている。

● フランス医薬品庁が監視継続医薬品77品目のリストを公表、目印のロゴマークも付けることを言明
白血病薬「グリベック」(イマチニブ)、糖尿病薬「ガルバス」 (ビルダグリプチン)糖尿病薬「ジャヌビア」(シタグリプチン)、脳卒中剤「プラザキサ」(ダビガトラン)、糖尿病剤「アクトス」(ピオグリタゾン)、抗肥満剤「アライ」(オルリスタット)など.

● フランスが薬害スキャンダルを踏まえ医薬品行政改革についての意見聴取を実施、夏には法制化
フランス保健省は、500名もの死者を出した食欲抑制剤ベンフルオレックス(Mediator)が30年以上にもわたって処方され続けていたことから、これまでの医薬品規制を徹底点検し見直すために、国をあげての医薬品行政改革についてのコンサルテーション(意見聴取)に着手した。

● ドイツの薬事法規改正で製薬企業は新薬発売12か月以内に価値の証明が必要に
ドイツの医薬品市場新秩序法(AMNOG)の改正で、製薬企業は発売12か月以内に新薬の価値 (Value)のエビデンス(証拠)を求められ、提出がないと保険償還リストから削除される。

谷直樹
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by medical-law | 2011-05-21 06:51 | 医療