弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 07月 20日 ( 3 )

昨年の医療機器の不具合報告,6466件から1万4811件に増加

b0206085_6213487.jpg平成23年7月20日の薬事・食品衛生審議会医療機器安全対策部会で,厚労省が医療機器の市販後安全対策について、昨年度の結果を報告しました.
厚労省のサイトには資料が未だアップされていませんが,キャリアブレイン「医療機器の不具合報告、昨年度は大幅増- 厚労省・安全対策部会」に以下のとおり報じられています.

製造販売業者からの不具合報告は計1万4811件だった。
過去5年間の不具合報告は、2006年度が1万2190件、07年度1万6550件、08年度6351件、09年度6446件。この数年は低い水準で推移していたが、昨年度は大幅に増加した。」

「製造販売業者による医療機器の自主回収は396件(同373件)だった。
内訳は、重篤な健康被害や死亡の原因となり得る「クラス1」が7件、
一時的または治癒可能な健康被害の原因になる可能性がある「クラス2」が339件、
健康被害の原因になるとは考えられない「クラス3」が50件だった。」
キャリアブレイン「医療機器の不具合報告、昨年度は大幅増- 厚労省・安全対策部会」ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-20 19:56 | 医療事故・医療裁判

田辺三菱製薬工場株式会社足利工場に対する業務停止及び改善命令について

b0206085_9165845.jpg◆ 薬事法第72条の4第1項に基づく業務改善命令

厚生労働省は,平成23年7月19日、田辺三菱製薬に対し,GQP(医薬品及び医薬部外品等の品質管理の基準)省令違反により,GQPの逸脱に係る業務の運営について,薬事法第72条の4第1項に基づく業務改善命令を出しました.

「田辺三菱は昨年4月にも、子会社バイファによる承認申請資料改ざん問題で、厚労省から業務停止処分を受けた経緯があり、昨年6月には「再発防止策」を厚労省に提出していたが、今回厚労省は、「違反発見・原因究明の遅れ等が見られるなど、なお再発防止の取り組みは不十分」と指摘。「再発防止策」について、さらに実効性のあるものとなるよう見直しを行い、その結果を厚労省に報告するよう求めている。」キャリアブレイン「田辺三菱の足利工場に10日の業務停止命令- 栃木県」ご参照

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◆ 薬事法第75条第1項に基づく医薬品製造業の業務停止10日間

栃木県は,同日,田辺三菱製薬の子会社の田辺三菱製薬工場株式会社の足利工場に対してGMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)省令違反により,薬事法第75条第1項に基づく医薬品製造業の業務停止10日間を命じました.

◆ 田辺三菱製薬の対応

田辺三菱製薬は,同日「田辺三菱製薬工場株式会社 足利工場に対する業務停止及び当社に対する改善命令について」を発表しました.

 「田辺三菱製薬工場及び当社は、今般の業務停止並びに改善命令を重く受け止めるとともに、患者の皆様、医療関係者の皆様、並びに社会の皆様方に対して心よりお詫びを申し上げます。

 足利工場に対する業務停止は、既に本年1月、当社が公表いたしました、医薬品製造業者である同工場が、医療用医薬品「リプル注」「リメタゾン静注」「パズクロス点滴静注液」等の出荷のための品質試験を一部適切に行わなかった事実などに対するものです。当社に対する改善命令は、昨年4月、当社が子会社である株式会社バイファのメドウェイ問題について厚生労働大臣から改善命令を受けて、同年6月に改善計画を提出して再発防止策を推進してきたものの、なお再発防止の取り組みは不十分であるとし、改善計画に基づく再発防止策について、さらに実効性のあるものに見直しを行い、その結果を厚生労働省に報告するよう命じたものです。

 当社及び当社グループは、同工場が品質試験を一部適切に行わなかった事実の発覚後、グループ全体の製造品の品質を改めて確認するための品質総点検を速やかに行い、現在製造販売を行う製品の品質に問題がないことを確認するとともに、社外有識者による危機管理委員会を直ちに発足させ、原因究明と再発防止策について提言を受けました。そして、品質総点検など一連の対応と委員会の提言をもとに「品質管理問題に係る総括報告書」を取りまとめ、本年4月に公表させて頂きました。
 なお、足利工場で製造する当社製品について、今般の業務停止による安定供給への影響はありません。」


この文章からは,4月に「品質管理問題に係る総括報告書」を公表し,6月に改善計画を提出して再発防止策を推進してきた,という言い訳だけが目立ち,それが不十分であることについての自覚と反省は読み取れません.
田辺三菱製薬は,再発防止の取り組みが不十分であるという指摘を,本当に真摯に受け止めているのでしょうか?

平成23年1月26日「田辺三菱製薬とコンプライアンス」ご参照

平成23年1月30日「田辺三菱製薬とコンプライアンス(続き)」ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-20 05:06 | コンプライアンス

日本医療安全調査機構・運営委員会,モデル事業中止を撤回,協働モデルも実施へ

b0206085_9192621.jpg◆ 「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」継続

前回の運営委員会で,「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」を中止するとい理事会の決定に反対意見が相次ぎ,検討することになったのは,4月26日のブログ「「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」存亡の危機」に書いたとおりです.
その後,理事会で再検討した結果,継続となったとのことです.
日本医療安全調査機が7月19日開いた運営委員会の模様について,キャリアブレイン「従来の死因究明モデル中止論は撤回- 秋にも新モデル始動へ」が報じています.

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◆ 「調査分析協働モデル」(仮称)を新規実施

前回提案のあった,院内調査委員会と協働する「調査分析協働モデル」(仮称)も実施するとのことです.

「同モデルでは、医療機関に解剖立会医を派遣。院内外の専門家が医学的調査を行う「協働調査委員会」(同)にも外部委員として有識者を派遣し、モデル事業の中央事務局に常設された「中央審査委員会」(同)が協働調査委員会の報告書の内容を検討・審査する。
同モデルについては今後、申請できる医療機関の要件などを詰め、学会への説明などを経て秋にも実施される見通し。事務局は今年度の受け付け事例計画40例のうち、同モデルで20例程度受け付けたい考えだ。」


◆ 日本医療安全調査機構の運営

「同機構の在り方については、運営委員会の樋口範雄座長、日本医師会の高杉敬久常任理事、日本病院会の堺常雄会長の3人が新たに理事に加わるほか、19学会に社員として参加協力を要請する。財政基盤を強化するため、早ければ来年度から学会に対して一定の費用負担を求めたい考えだ。また、前回会合で提案された運営委員会の委員削減も撤回され、19日の会合から新たに患者(遺族)代表の永井裕之委員(患者の視点で医療安全を考える連絡協議会代表)が加わった。」

◆ 意見

日医の基本的提言では,日本医療安全調査機構が第三者的機関として重要な役割を担うことになります.その関係で,次のような意見が述べられました.

● 委員から、第三者機関の法制化の必要性を指摘する意見が複数出た。

● 厚生労働省医政局総務課の渡辺真俊・医療安全推進室長は、モデル事業の来年度予算は今年度と同額を考えていると説明する一方、「法制化について言えることはない」と回答。

● 高久代表理事は、「自分たちで第三者機関をつくり、医師法21条の改正については、第三者機関が国に要請する方が、このままの形でずるずると事業を続けるよりいいのではないか」との認識を示した。

● 協働モデルについては、「解剖立会医が一体何をするかが不明確だ」(居石克夫・国立病院機構福岡東医療センター研究教育部長)、

● 「第三者機関ができた時にも協働・連携的なモデルをすることが見えているならば賛成できるが、(その)前提が全然見えていない。院内事故調だけでいいと利用される恐れがある」(永井委員)


キャリアブレイン「従来の死因究明モデル中止論は撤回- 秋にも新モデル始動へ」ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-20 04:22 | 医療事故・医療裁判