弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 07月 21日 ( 2 )

神戸市立医療センター中央市民病院,平成23年7月14日,酸素ボンベと間違えて二酸化炭素ボンベを接続

b0206085_12102954.jpg◆ 事案

神戸市立医療センター中央市民病院で,80代の男性が,腹部大動脈瘤切迫破裂のため,平成23年7月13日夜から14日未明にかけて緊急手術を受けました,
術後,集中治療室に運ぶ際,麻酔科医と看護師が二酸化炭素ボンベを酸素ボンベと取り違え,手動の人工呼吸器に数分間接続しました.その3分後に心停止となり,蘇生措置で自力呼吸が戻りましたが,20日に再び心停止となり心肺補助装置を外せない重篤な状態とのことです.

msn産経「神戸中央市民病院で医療事故 患者が一時心肺停止」ご参照

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神戸市によりますと今月14日、神戸市立中央市民病院で、腹部の大動脈りゅうの手術を終えた80歳代の男性患者に対し酸素吸入をしようとした際、麻酔科医が誤って二酸化炭素のボンベを取り付けました。
 男性は3分後に心停止となり、今も心肺補助装置を外せないということです。
酸素と二酸化炭素のボンベは黒と緑色で分けられていますが、麻酔科医は「看護師が二酸化炭素のボンベを指し示した」と話しているということです。
」(毎日放送「神戸市立中央市民病院 ボンベ間違え心停止」)

◆ 神戸市立医療センター中央市民病院の対応

人為的なミスで,今後外部識者を含めた医療事故調査委員会で原因を究明したい,とのことです.

◆ 感想

ボンベの取り違え事故は以前にもあります.

平成15年11月に,横浜市大市民総合医療センターで,男児を新生児集中治療室から手術室に移動させようとして,酸素の供給を持ち運びボンベに切り替えたとき,誤って窒素ボンベ(灰色)に接続した事故が起きています.

平成20年8月には,福岡県の公立八女総合病院で,酸素ボンベ(黒色)と二酸化炭素ボンベ(緑色)の取り違え事故が起きています.

公立八女総合病院で,大腸がんで入院していた70代の男性を。頭部打撲で救急車で運ばれた80代の男性を,それぞれ緊急手術のため,ストレッチャーで手術室入り口から手術台まで約20メートル運ぶ間,20代の看護師が酸素ボンベと間違えて二酸化炭素ボンベを取り付け,二酸化炭素を吸入させた事案です.
看護師は「使用直前に空だと気付き,患者の状態が悪かったこともあって焦っていた。前日の手術で深夜まで勤務しており,疲労して注意力がなかった」と話していると報道されました.
なお,2人の患者は死亡しましたが,公立八女総合病院によると,ボンベの取り違えと死亡との間に関連性はない,とのことでした.

この公立八女総合病院の事故について,原因調査と再発防止が徹底されていたら,今回の神戸市立医療センター中央市民病院の事故は防止できたのではないか,と思います.
あまり使うことのない二酸化炭素ボンベの形状を変えるとか,ストレッチャーで移動するときに使う手動の人工呼吸器には二酸化炭素ボンベが接続できないようにするとか,方法はあると思います.

神戸市立医療センター中央市民病院の事故調査に期待いたします.

法的問題は,新日本法規『看護業務をめぐる法律相談』の拙稿「ケーブルの接続ミス等の責任は」をご参照ください。

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-21 11:54 | 医療事故・医療裁判

がん免疫療法の現在

b0206085_9304840.jpg週刊医学新聞に北野滋久氏が「米国におけるがん免疫療法の現在  腫瘍免疫学を学ぶ立場から」を寄稿しています.

◆ 日本の現状

日本の現状について,
残念なことに,腫瘍免疫学を専門としない多くの臨床医の方々から,がん免疫療法に対して懐疑的なまなざしを向けられていることは周知の事実です。」と認めています.

それは,
以前の免疫療法に関しては,必ずしも科学的に適切な臨床試験が行われておらず,生存期間の延長が証明されてこなかったからです。
とのことです。

そこで,北野氏は,科学的に綿密に計画された臨床試験が必要で,そのためには,「がん免疫療法の臨床試験を適切に行い,治療後の患者さんの体内での免疫応答を適切な方法でモニタリングするためのinfrastructureの整備が必要不可欠です。」と述べています.

◆ 米国の状況

北野氏は,米国では,免疫療法薬が科学的に計画された臨床試験の試練を経て,FDAの認可を受けたことを紹介しています.
それが,次の2つです.

前立腺がんに対するsipuleucel-T(商品名:Provenge®)
悪性黒色腫に対するipilimumab(イピリムマブ,商品名:Yerboy®)

詳細は,「米国におけるがん免疫療法の現在  腫瘍免疫学を学ぶ立場から」ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-21 09:23 | 医療