弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 07月 22日 ( 3 )

欧州医薬品庁,アクトス(一般名;ピオグリタゾン)の添付文書の変更推奨

b0206085_14592993.jpg膀胱がんの危険性を約1.2倍高める可能性があるとの研究結果を受けて,仏独は新規患者へのアクトスの処方を禁止し,仏は回収まで行いました.

欧州医薬品庁(EMA)は,7月21日、武田薬品工業の糖尿病治療薬「アクトス(Actos)」(一般名;ピオグリタゾン)について膀胱がんにかかる危険性を高める可能性があるとの警告を表示すべきとしました.
EMAは,アクトス(一般名;ピオグリタゾン)は,特定の2型糖尿病患者にとって,有効な治療選択肢である,患者を適切に選択および排除することにより,リスクを低下させることができる,としました.膀胱がん病歴のある患者,膀胱がんの患者,および未検査の肉眼的血尿のある者に対しては禁忌とし,同剤投与開始時点で膀胱がんのリスクファクターを評価することを求めています.医師は,3か月,6か月およびその後定期的に評価しなければなりません.高齢者には最低用量から投与することも求めています.

European Medicines Agency recommends new contra-indications and warnings for pioglitazone to reduce small increased risk of bladder cancerご参照

武田薬品工業の「欧州医薬品庁によるピオグリタゾンの添付文書の変更推奨について」には,以下のとおり記載されています.

「今回のEMAの措置は、7月18日から21日まで開催されたCHMP月次会議において、『ピオグリタゾンは2型糖尿病患者の治療選択肢として有用であり、膀胱癌の発症リスクにわずかな増加が見られるものの、添付文書に、新たな投与禁忌、使用上の注意、定期的な安全性と有効性の確認を追記し、適切な患者さんを投与対象とすることでそのリスクを軽減できる』との結論に達したことによります。」

アクトス(一般名;ピオグリタゾン)を使い続けるとすれば,使用する患者を適切に選択,排除することが重要になります.

日本の厚生労働省は,仏独のようにアクトスの使用自体を認めないか,それとも,添付文書を改訂し使用する患者を適切に選択,排除して使用し続けるか,よく検討すべきと思います。もし,日本の臨床の実情において患者を適切に選択,排除すること,定期的にリスクを評価点検することが難しいのであれば,前者のように使用中止という選択も当然あると思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-22 14:48 | 医療

「第7回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」

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「第7回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会」が,平成23年7月21日,開かれました.
薬害研究資料館などをどのようにつくるか,が課題です。

厚労省は,「当面の検討事項」として,
▽「薬害に関する資料収集・公開等を行う仕組み」の必要性や理念
▽対象となる資料・情報の範囲
▽実施形態(施設,ウェブなど)
▽運営の主体や運営方法
▽コスト負担のあり方
などを提案しました.

手嶋和美委員(薬害肝炎訴訟原告団)は,「実物の教材を子どもや学生,医療に携わる方々,一般の方々が見に来られるよう,薬害に関するさまざまな資料をまとめていただくのが,薬害肝炎原告団の希望」と述べた,とのことです.

キャリアブレイン「薬害の資料収集・公開の仕組みの議論開始- 厚労省検討会 」ご参照

手嶋委員は,出産後の出血でフィブリノゲン製剤を投与されC型肝炎に感染し,その2年後の出産の際子どももC型肝炎に感染した薬害被害者です.手嶋委員の発言は的を得ています.

厚労省が予算の都合でwebでお手軽にすませようなどと考えているとしたら,それは大きな間違いです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-22 09:06 | 医療

「東電OL殺人事件」の再審開始を!

b0206085_7423742.jpg一般に「東電OL殺人事件」と言われていますが,OLという言葉がジェンダー差別であり,かつ,勤務先を表示するのは被害者のプライバシーに対する配慮を欠く表現ですので,本当は使いたくないのですが,すでに定着しているので,やむをえず使用します.

被害者は総合職です.被害者の亡くなった父親は東電の幹部で反原発の意見を表明したため左遷された,被害者も反原発のレポートを書いていた,などとネット上で騒がれています.
しかし,問題はそこにあるのではありません.

真犯人は誰かは不明ですが,受刑者ゴビンダさんが犯人であるという証拠がないのに有罪とされたことなのです.

東京地裁は無罪,東京高裁刑事4部(高木俊夫裁判長)は有罪,最高裁第3小法廷は上告棄却(有罪確定)としました。.

東京高裁が有罪とした物的証拠はDNA鑑定のみと言ってよいでしょう.それがゴビンダさん以外の人のものとなれば,有罪の判断に疑問がでてきます.
ゴビンダさんが事件後に10万円を持っていたなどの状況証拠だけでは有罪と認定できないと思います.
むしろ,状況証拠は無罪方向のものが結構あります.

日弁連は,平成18年10月19日,本件について冤罪の可能性が高いとし,日弁連支援事件としています.
再審開始決定を期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-22 07:36 | 司法