弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 07月 23日 ( 4 )

金沢大,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に違反(続報)

b0206085_101025.jpgブログ記事を書いたあとに,読売と毎日から報道がありましたので,補足いたします.

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◆ 読売新聞

読売「未承認で幹細胞使い臨床研究…金沢大グループ」は以下のとおりです.

「金沢大学は22日、医薬保健研究域の金子周一教授(消化器内科学)の研究グループが、厚生労働省の指針に抵触し、同省の承認を受けないまま、幹細胞を使った臨床研究を肝硬変の患者らに行っていたと発表した。

同大は「指針に対応する罰則規定がないので処分は行わない」としている。

同省の指針では、幹細胞を用いた臨床研究は、厚労省に実施計画書を提出し、審査を受けると定められている。しかし、金沢大は計画書を提出せず、金子教授らは2009年2~12月にかけ、虚血性心不全と肝硬変の重症患者7人に対し、脂肪細胞に含まれる肝細胞を使った再生医療研究を行っていた。

記者会見に臨んだ金子教授は、「細胞に含まれる幹細胞はごくわずかなので、指針には抵触しないと考えた。理解が不十分だった」と釈明した。

同大は10年4月に厚労省の指摘を受け、11月に実施計画書を提出、承認に向けた手続きを進めている。また、12月には、改善策をまとめた最終報告書を厚労省に提出。改善策は、指針に関わるヒト幹細胞の臨床研究を主に審査する「臨床研究審査委員会」を新設することなどが柱で、今年6月までに審査態勢の強化を図った。

問題の発覚から公表までに1年以上経過しているが、この点について、同大は、「原因を精査して審査態勢を整備する必要があった」としている。」


◆ 毎日新聞 

毎日「ヒト幹細胞:国承認得ず研究 「倫理規定見直しに時間」 金沢大が弁明 /石川」は,以下のとおりです.

「 ◇1年以上後発表
 金沢大学(金沢市)が、国の承認を得ずにヒト幹細胞を用いた再生医療の研究を行い、厚生労働省の指摘で中止した問題を発表した22日の記者会見。同省の指摘から発表まで1年以上経過したことに対し、報道陣からは理由を問いただす声が相次いだ。同大の山本博・医薬保健研究域長は、「新たな体制や規定づくりに時間がかかった」と弁明した。【横田美晴、松井豊】

 金沢大によると、昨年4月、同省から「倫理指針に抵触する」と指摘を受け、同月に研究を中止し、同12月に報告書を同省に提出した。研究で用いた細胞が、国の倫理指針で国の承認が必要な量のヒト幹細胞を含むとの認識がなく、指針についての理解不足だったことが原因と説明する。

 厚労省の指摘後、指針の周知徹底や体制整備を進め、今年度からは新たに臨床研究を審査する倫理委員会を設置したり、倫理規定を見直すなどした。改善策の取り組みにめどが付いたため、発表したとしている。

 金沢大は、「最先端の再生医療の研究であり、他の治療法では救えない患者に有効」とし、今後も国の評価を受けた上で、研究を再開する方針。

 研究では、肝硬変や虚血性心不全の重症患者本人の腹部や尻から脂肪細胞を採り、再び注射やカテーテルを用いて患者の体内に戻した。患者の状態は順調という。

 これらの疾病に対し、幹細胞を用いた治療法は国内では確立されておらず、「研究を進め、最先端医療に貢献したい」としている。」


◆ 感想

金子教授が「細胞に含まれる幹細胞はごくわずかなので、指針には抵触しないと考えた。理解が不十分だった」というのは,わかりましたが,他の人も同じように考えていたのでしょうか.誰か,量の問題ではない,と指摘する人はいなかったのでしょうか.
もし,指摘する人がいなかったとすれば,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を正しく理解している人が金大に誰1人いなかったとすれば,金大の体制が著しく不備だったと思います.

発表が1年以上遅れたことについて,金大は,改善策の取り組みにめどが付いたため発表した,と説明していますが,発表が遅れたことを正当化する理由にはなりません.1教授,1大学に限った問題ではありませんから,ただちに公表すべきでした.
また,1年以上の期間があったのですから,原因究明と再発防止についてもっと具体的な説明がなされるべきです.

金子教授が誤解していたことは原因の1つですが,学内の倫理委員会で承認されているのですから,倫理委員会で実質的な検討ができていなかったとすれば,そこに原因があります.その点を掘り下げる必要があると思います.

金大は,ヒト幹細胞の臨床研究を主に審査する「臨床研究審査委員会」を新設するとのことですが,本件は教授がヒト幹細胞の臨床研究にあたるとは考えなかった事案ですので,そのような場合,「臨床研究審査委員会」に審査申請されないのですから,基本的な体制整備が必要と思います.

ヒト幹細胞の臨床研究以外にも,研究と倫理指針の問題はありますので,倫理指針を理解し尊重する体制を確立することが望まれると思います.
それは,金大に限ったことではないと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-07-23 23:56 | 医療

7月26日事故調院内集会,ほんとうのことを知るのがなぜ難しい?

患者の視点で医療安全を考える連絡協議会(患医連)らが主催し,7月26日(火)に,参議院議員会館101会議室で,医療事故の第三者調査制度の構築と院内事故調査制度の法制化を求める院内集会が開かれます.
是非,ご参加を御願いいたします.

医療事故の第三者調査制度の構築と院内事故調査制度の法制化を求める院内集会
-ほんとうのことを知るのがなぜ難しい?-

【日時】  平成23年7月26日(火) 12:30~13:30

【場所】  参議院議員会館101会議室
        東京都 千代田区 永田町2-1-1
          東京メトロ永田町駅より徒歩1分
【主催】  患者の視点で医療安全を考える連絡協議会        
       医療版事故調推進フォーラム

【連絡先】 患者の視点で医療安全を考える連絡協議会 代表 永井裕之
        mail: kan-iren-info @yahoogroups.jp   FAX: 047-380-9806
         (全角の@を半角の@に換えてください)


b0206085_23211690.jpg【趣旨】
○私たち、患者の視点で医療安全を考える連絡協議会(患医連)は「医療版事故調査機関の早期設立」を願って、活動しています。

○ 昨年5月12日、「医療事故調査機関早期設立を求める要請書(署名)」合計23,846筆を政府、両議院、各政党に提出し、年度内に医療版事故調査機関に関する法案を提出し成立されるよう要請しました。

○ しかし、その後も医療版事故調査機関設立に向けた動きは進んでいません。それどころか、医療事故で年間2万人以上の方が亡くなっていると言われているにもかかわらず、国として医療事故の再発防止・医療安全にどのように取り組むのかすら見えなくなっています。

◎ そこで、このたび、医療事故の再発防止・医療安全の推進のために、内閣総理大臣及び厚生労働大臣に対し、医療事故の第三者調査制度の構築及び院内事故調査制度の法制化を求める意見書を提出し、上記のとおり院内集会を開催します。

◎ 多数の方々に、院内集会への参加と、医療事故調査制度の確立に向けご支援・ご協力をお願いいたします。


谷直樹

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by medical-law | 2011-07-23 18:38 | 医療事故・医療裁判

30代女性が選ぶ夏メロ10曲

b0206085_910497.jpg事務局Iです.

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◆ 『勝手にシンドバッド』
学生時代,絵を描きながら,よく聴いていました.サザンのアルバムは長いので,120分カセットテープのA面B面で4時間,途中30分休憩3セットで1日が終わります.エアコンをつけてもらえない夏期休暇中の大学時代の制作室の思い出とともに.

◆ 『夏のお嬢さん』
榊原郁恵さんの古い曲ですが,作詞をされた笠間ジュンさんと,以前一緒に書道を習っていて,その方が,とっても爽やかな夏のお嬢さんといった印象の方なので.今でも毎年素敵な年賀状をくださいます.

◆ 『summer time』
私はジャニス・ジョップリンさんのバージョンがお勧めです.
高校生の頃,初めて聴いたときに衝撃を受けました.
こんなも人の心に訴える歌があるのだ…と本当に本当に感動しました.

◆ 『夏の思い出』
“夏が来れば思い出す…”
小学生のころの思い出の歌.
水芭蕉の花の群生の写真が美しく,とても幻想的で,いつか尾瀬に行こうと思いながら,まだ,行けていません.いつも友だちと歌いながら歩いた,作曲中田喜直さん,作詞江間章子さんの,名曲です.

◆ 『青春』
“校庭の隅 姫リンゴの実…夏の匂いと君の匂いがまじりあったら…”
ハイロウズの歌.私の青春はブルーハーツとともにありました.
真島昌利さんの繊細な感性がとても好きです.

◆ 『Hello my friend』
松任谷由実さんの歌.
フジテレビの月9がトレンディーの先端だった時代,『君といた夏』の主題歌.
当時大好きだったいしだ壱成さん,瀬戸朝香さんや筒井道隆さん…素敵だったなあ.

◆ 『Estate(エスターテ)』
夏,夏のうたと訳され,ボサノバの神様,ジョアン・ジルベルトさんが歌っています.
数年前から,よく聴きます.人に訴えかける強烈な思いを持って歌う方です.

◆ 『スローモーション』
中森明菜さんの歌.
人気だった当時のことは,幼すぎて,実は,あまり覚えていませんが,大好きな歌手の一人.昔の影像を見ると,あまりにも可愛くて,才能にあふれていて,スター性のある方ですね.

◆ 『涙がキラリ☆』
スピッツの歌.
飼っていた犬の散歩のBGMは,スピッツが多かったです.
淀川の河川敷と,19歳まで生きた実家の愛犬との大切な思い出がたくさん詰まった歌です.

◆ 『少年時代』
井上陽水さんの歌.
こちらも小学生時代の音楽の時間に歌いました.
今となっては定番ソングですが,名曲だと思います.
音楽の先生はセンスがあったなあ,と.

10曲限定ともなると,選曲に苦労しました.
普段はボサノバ,シャンソン,クラシックをよく聴くのですが,偏らないように色々と入れてみました.

谷直樹法律事務所
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by medical-law | 2011-07-23 09:04 | 趣味

金沢大,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に違反

b0206085_8435579.jpg◆ 報道

日経「計画書提出せず再生医療 金沢大、国の指針に違反」は,次のとおり報じています.

金沢大(金沢市)は22日、2009年2~12月に実施した、患者本人の細胞を用いた再生医療の臨床研究7件について、厚生労働省に実施計画書などを提出しておらず、国が定める「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に抵触していたと発表した。

金沢大によると、問題となった臨床研究は、患者から脂肪由来細胞を取り出して本人に戻す内容で、対象患者は30~70代の男性3人と女性4人。重症の虚血性心不全が1件、肝硬変が6件だった。今回の肝硬変患者への再生医療の臨床研究は世界初で、虚血性心不全は国内初だったという。

08年8月、大学内の倫理委員会で承認されたが、その後、脂肪由来細胞の中にヒト幹細胞が数%含まれていたことが判明。金沢大は「国に計画書を提出しなければならなかった」としている。患者の臨床経過については問題はないという。〔共同〕


◆ 感想

ヒト幹細胞臨床研究が社会の理解を得て,適正に実施・推進されるよう,個人の尊厳と人権を尊重し,かつ,科学的知見に基づいた有効性及び安全性を確保するために,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(平成18年厚生労働省告示第425号)」は平成18年9月1日から施行されました.
本件当時は,この指針が適用されていました.

その後,ヒトES細胞やヒトiPS細胞を用いた研究が行われるようになり,平成22年11月1日,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(平成22年厚生労働省告示第380号)」に改められました.

この金大のグループは,遺伝子解析により優れた研究成果をあげています.
たとえば,1)C型慢性肝炎のインターフェロンの効果を事前に予測する「インターフェロン反応チップ」を開発,2)血液のRNAに蛍光試薬を加えて反応のパターンを調べ消化器がんを発見するシステムを開発,3)肝臓で働く遺伝子の解析を通じ,血糖値を上げるホルモン群「ヘパトカイン」を発見等です.
「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」は,当然知っていたと思います.
また,金大の倫理委員会は,どう考えていたのでしょう.
ヒト幹細胞が含まれていることを知らなかったのでしょうか.
なぜ,このようなことが起きてしまったのか,金大から説明がほしいところです.

【追記】
金沢大,「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」に違反(続報)」ご参照


谷直樹
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by medical-law | 2011-07-23 01:53 | 医療