弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 08月 04日 ( 3 )

タバコ訴訟,東京高裁第6回口頭弁論の報告

b0206085_1935996.jpg平成23年7月27日に,東京高裁第1民事部で,タバコ訴訟第6回期日がありました.

このタバコ訴訟は,タバコ喫煙により肺がん,肺気腫,タバコ依存症に罹患した患者が,日本たばこ株式会社と国を相手に起こした訴訟です.
私は患者側の代理人の1人です.
今までの経過は,「タバコ病をなくする横浜裁判~タバコ病のない社会をめざして」のサイトをご参照ください.

東京高裁では,控訴人と被控訴人らとの準備書面のやりとりと並行して,争点整理,時系列表の作成が行われています.

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◆ 争点整理

被控訴人日本たばこが作成した争点整理案は,単に双方の意見の異なる箇所を羅列しただけのものでした。

例えば,被控訴人日本たばこは,「タバコとは何か」を争点とします。
控訴人は,タバコは長期間の継続使用を意図し,性質上継続使用される商品だから,肺がん,肺気腫罹患・悪化の危険がある(有害)と主張しています.
これに対し,被控訴人日本たばこは,タバコは嗜好品だから違法ではない,と主張します。
たしかに,双方の意見は異なりますが,「タバコとは何か」というくくりでは,双方の主張は嚙み合いません.

そこで,控訴人は,請求原因事実にそった争点整理案を提出しました,
タバコの継続使用は,肺がん,肺気腫罹患,悪化の危険の前提事実として位置付けました.被控訴人日本たばこの嗜好品論は,違法性減弱事由の主張として位置付けました.
また,①たばこが有害であるという客観的事実と,②その当時の被控訴人日本たばこの認識を分けました.
注意義務違反,違法性,因果関係を区別しました.

このように,控訴人と被控訴人との間で,考え方,争点項目が異なる争点整理案がでましたので,裁判所が積極的にリードして争点整理を進めるために,進行協議期日を明日8月10日にもつことになりました.

◆ 時系列表

タバコをめぐる重要な事実について,控訴人,被控訴人がそれぞれ記入して,時系列表を作成しています.

被控訴人日本たばこは,時系列表を簡単なものにしたいようです。

控訴人は,時系列表の内容を充実したものにしようと考えています.横浜地裁判決は,事実適示の部分で重要な事実を落としていましたので,東京高裁はそのようなことがないように,しっかり事実を把握した上で判決していただきたいと思います.

◆ 主張書面(準備書面)

被控訴人日本たばこから,準備書面が提出されました。
大部なものですが,内容は従前の主張の繰り返しです.
被控訴人日本たばこの主張は論理的でありませんし,科学的根拠・裏付けもありません.シンプルな話を複雑にしています.
控訴人は,これに対する反論の準備書面を9月に提出します.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-04 18:49 | タバコ

日弁連,放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての意見書

b0206085_17474647.jpg日弁連は,2011年7月29日付けで「放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての意見書」を取りまとめ,内閣総理大臣,環境大臣,厚生労働大臣等宛てに提出しました.

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意見書の趣旨は以下のとおりです.

1 放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策についての権限と責務を明確化するために、環境基本法第13条を削除し、かつ、環境省の権限と責務であることを法律において明記すべきである。


2 放射能による環境汚染と放射性廃棄物の対策について、総合的な立法をし、放射能による環境汚染に対する網羅的かつ緻密な調査・監視、除染方法の確立、放射性廃棄物の処分方法の確立をすべきである。


3 放射性廃棄物かどうかを区別する基準については、現行のクリアランスレベルである10μSv/年を基本として定める値(セシウム137については、100ベクレル/kg)によるべきであり、したがって、100ベクレル/kg以上のものについては、放射性廃棄物として厳重な取扱いが必要であるものとすべきである。さらに、8000ベクレル/kgを超えるものについては、その移動・保管の際に、一般公衆の被ばく線量限度である1mSv/年を超えるおそれがあるので、特に厳重な取扱いが必要である。


4 放射性廃棄物の焼却をする前に、焼却処分施設の能力・性能について、適切な試験・検証をし、公開と参加の下で放射性廃棄物の焼却についての方針を決定した上で、なされるべきである。


5 放射性廃棄物の保管、埋立て処分については、環境影響評価手続の実施はもちろん、他の廃棄物と区別しての管理・特別な保管管理方式・継続的な監視管理体制の確立など、その特質と放射能濃度に応じた特別な保管、埋立て処分をすべきである。具体的な措置としては、国がある程度の広さの土地を買い上げ、そこに、指定放射性廃棄物の処理施設を作るべきである。


6 暫定的措置として放射性廃棄物を管理型処分場に保管する場合は、他と区別して容易に判別可能な形で、流出や飛散の防止をし、警告表示の上で行うべきである。また、放射性廃棄物の移動・保管のための労務作業については厳重な放射線量の管理がなされるべきである。


※ 意見書全文は日弁連のサイトにPDFファイルで掲載されています.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-04 01:34 | 脱原発

日弁連,原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報に対する常時モニタリングに関する会長声明

b0206085_17443651.jpg先日からツイッターをはじめました.以前から高橋智先生に奨められていたので,いつか時間ができたら始めようと思っていました.

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ブログで原発事故の危険情報を書いていた時期もあったのですが,原発に目を奪われている隙に,政府が規制緩和など,患者の権利に対する侵害政策を進めているのを感じたので,ブログの重点を医療問題に戻しました.

ところが,最近,政府が,ツイッター,ブログなどインターネット上の原子力等に関する情報を収集し,国民を監視しはじめた,と知って,これは許せないと思いました.
そこで,ツイッターをはじめてやろうじゃないか,と考えた次第です.

東京弁護士会は,7月26日に「資源エネルギー庁の「不正確情報対応」事業の適正化を求める会長声明」をだしています.その後,7月29日に日弁連も会長声明をだしています.

日弁連の「原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報に対する常時モニタリングに関する会長声明」をご紹介します.

政府は、本年7月、「ツイッター、ブログなどインターネット上に掲載される原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報を常時モニタリングし、それに対して速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くことで、原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する」ことを目的とする原子力安全規制情報広聴・広報事業について業者に発注した。


原子力等に関する不正確な情報又は不適切な情報に対する常時モニタリングは、新聞・テレビを対象に過去3年間行われていたが、今年度は、東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、ツイッター、ブログなどを対象に予算を8300万円とこれまでの数倍規模に拡大して行うこととしたものである。


この事業においては、「常時モニタリング」すること、さらには、不正確とされる情報等に対して「速やかに正確な情報を提供し、又は正確な情報へ導くこと」とされているが、原子力発電や放射性物質の健康被害に関する情報は、科学的に評価が定まらないところもあり、何が「不正確な情報」であるかの根拠が不明確である。そのため、これによって、政府が「不正確」と考える情報を一方的に批判することにより、情報を発信する者に対して萎縮効果を与える結果となり、憲法21条の表現の自由を侵害する恐れが大きい。


そして政府の考える正確な情報に導くことは、政府の発信する情報と異なる情報の流通を制限し、国民の知る権利を制限することとなり、原子力発電についての世論形成をゆがめるなど、民主主義社会の根幹を揺るがせる重大な問題であると危惧せざるを得ない。


そもそも、政府による原子力事故に関する情報開示自体が不十分なものであることは、事故直後に放射性物質拡散予測情報が公開されなかったこと、炉心内の状況について事故直後の原子炉の状態に関する情報がいまだに明らかにされていないこと、メルトダウンしていることが隠ぺいされ続けたこと、放射性物質が健康被害をもたらす閾値などについて十分な根拠が示されていないことなどから明白である。また、九州電力のやらせアンケート事件によって、原発問題については、不正な情報操作さえ行われる事実が明らかになった。そればかりか、本日の報道によれば、経済産業省原子力安全・保安院が2007年8月に国が開催したプルサーマル発電に関するシンポジウム前に、地元の住民に賛成の立場で発言してもらう「やらせ質問」を中部電力に要請していたことが判明した。


このような背景の下、市民はより正確な情報を求めようとして、これまでインターネットを利用する機会が少なかった人までもが、専門家やジャーナリストらがツイッターやブログで発信する情報を得ようとしたり、有益だと思える情報をツイッターなどで相互に伝えようとしているのである。


むしろ政府が行うべきは、正確な根拠を引用した具体的網羅的な情報の開示であり、自らが十分な情報を開示しないでおきながら、市民の間における情報流通の制限につながる試みを行うことは、情報統制である。その上、前述のとおりの情報操作の動きがあることも併せ考えれば、問題の深刻さを示している。


当連合会は、政府に対し、直ちに本件モニタリングを中止することを求めるものである。


谷直樹
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by medical-law | 2011-08-04 01:25 | 脱原発