弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 08月 09日 ( 3 )

ヒロシマ,ナガサキ,そしてフクシマ

b0206085_9243735.jpg同じく原爆を投下されたヒロシマ,ナガサキですが,「怒りの広島,祈りの長崎」と言われることがあります.広島の原爆ドームは保存され,長崎の浦上天主堂は再建されました.

カトリック信者の長崎医科大学教授永井隆博士は,「原爆投下は、神の摂理である」と述べたことが大きく影響しているようです.日本が戦争を始めたことを意識しての発言だと思います.
しかし,同時に,永井隆博士は,「原爆投下は天罰ではない、人間の愚かな仕業である」とも述べています.

法華経信者の石原慎太郎都知事の津波天罰発言(後に撤回)がマスコミで問題にされたことがあります.

これもたしかに問題ですが,石原知事が福島で「私は原発推進論者です」と述べたこと,8月5日の記者会見で、日本が核保有国に囲まれた中で存在感を維持していく方策として、核保有のシミュレーションを行うべきだとの考えを述べたことの方が問題と思います.

原発推進,核保有が,我利我欲の所作ではないのか,人間の愚行ではないのか,よく考える必要があるでしょう.

また,原水禁,連合,核禁会議の3団体が「脱原発」について一致していないのが残念です.

写真は,福砂屋のキューブカステラです.午前中に売り切れるそうです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-09 09:17 | 脱原発

定員大幅割れの2法科大学院が統合へ

b0206085_9455518.jpg今,法科大学院の入学希望者は,はじめの頃に比べて半減以下になっています.

大宮法科大学院大は,第二東京弁護士会が支援してきた法科大学院ですが,定員70人に対し入学者がたった27人で,問題になっていました.
桐蔭横浜大(定員50人に対し入学者38人)に併合され,「桐蔭法科大学院」になると,8月8日,発表されました.

時事通信「法科大学院、初の統合へ=来年4月から、社会人教育強化―桐蔭横浜と大宮」ご参照

「社会人教育強化」と言っていますが,「撤退」を「転進」と言う感じをうけます.
新司法試験制度,法科大学院が失策であったことを率直に認めた方がよいように思いますが...

同様に苦境に陥っている法科大学院は他にもありますから,法科大学院統合・縮小の動きがさらにでてくると思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-09 08:17 | 司法

医療版事故調を考える(2)

b0206085_131357.jpg◆ 医療行為無責論

事故調査委員会が専門性,公平性,透明性の確保を旨とすべきことは,(1)で述べたとおりです.

これに対し,「専門性」に重点をおく考えも医療側にあります.
医療に素人の裁判官が判断する刑事手続きで医師が処罰されるのは不当であるから,医師の診療行為を業務上過失致死傷罪の適用から外す,せめて重過失がある場合のみ限定する,という主張がされることがあります.

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◆ 刑罰の目的

刑罰には,3つの目的があるとされています.

第1は、報復です.近代刑法は,私的な仇討ちを許さず,代わりに国家が犯人に制裁を与えます.悪いことをすれば,それ相応の報いを受けます.国民が犯罪に対し刑罰を求めるのは,この考えに基づきます.

第2は,一般予防です。一罰百戒により犯罪を予防しようとするものです.

第3は、特別予防です。その犯人を矯正して社会に戻すことで,犯罪を予防します.

過失犯の場合も,基本的に同様です.
業務上過失致死傷の被害者の私的報復を許さず,国が代わって処罰することで社会秩序が保たれます.業務上過失致死傷を処罰することで,社会に一定の犯罪予防効果が期待されます。交通刑務所では,再犯防止のための教育がなされます.

医療行為に基づく業務上過失致死傷についても,基本的に同様です.ただ,罰金刑が大半で,刑務所で再発防止の教育がなされることはありません.

◆ 医療行為無責論について

医師の医療行為だけが特権的に刑事無責とされることは,まずありえないでしょう.
運転行為だけ業務上致死傷罪が適用されない,という考えが国民から支持されないのと同様に,医療行為だけ業務上致死傷罪が適用されないという考えを,国民が支持するとは思えないからです.
(なお,自動車運転行為を業務上致死傷から外そうという主張が,タクシー業界からでてこないのは,交通事故には加害者・被害者の互換性があり,事故が増えるとタクシー運転手自身も被害者になるからです.ここが医療行為と違います.)

例えば,自院に勤務していた看護師に心臓カテーテル手術を実施し業務上過失により死亡させた事件,肝臓手術を実施し業務上過失により出血死させた事件(山本病院事件)などを刑事無責とするのは,適切とは思えません.

◆ 事故調査委員会と刑事裁判

専門性,公平性,透明性が確保された事故調査が必ずしも行われない現在の状況では,結果として的を得ない不相当な刑事手続きが開始される可能性があります.

専門性,公平性,透明性が確保された事故調査が行われるようになれば,刑事裁判の見通しがつきやすくなり,不相当な刑事手続きが開始されることは避けられるようになるでしょう.
また,刑事処罰の謙抑性,補充性から,事故調査,補償により被害感情が緩和され,一般予防,特別予防の目的が達成されていれば,あえて刑事裁判にすることはないでしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-09 01:08 | 医療事故・医療裁判