弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 08月 23日 ( 3 )

日本薬剤師会,「埼玉県で発生した調剤事故による死亡事例について」を発表

b0206085_23282231.jpg埼玉県薬剤師会の小嶋富雄前会長と,小嶋前会長が開設した小嶋薬局の管理薬剤師が8月19日に書類送検されたことは,すでに報道されたとおりです。

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これについて,日本薬剤師会は,8月22日,「埼玉県で発生した調剤事故による死亡事例について」を発表しました.
抜粋してご紹介いたします.

「当該薬局では4月1日に調剤過誤に気付きながらも、管理薬剤師は患者への服薬中止の指示や、調剤薬の回収をするなどの安全対策を講じず、放置していたことが判明しています。また、当該薬局の開設者は埼玉県薬剤師会の前会長で、本年1月までは本会の理事とを努めていた指導的な立場にある薬剤師であります。」

「薬剤師が誤りを認識しながら、適切な対応を取らなくては、患者の安全確保は望むべくもありません。これは医薬分業の理念の根幹を揺るがす問題であります。」

「今回の事例は国民・患者からの医薬分業や薬剤師に対する信頼を大きく損なう行為であるとともに、会員への周知策がなお十分でない証左として、極めて遺憾であり重大に受け止めています。
本会では、亡くなられた患者さんに対しまして心よりご冥福をお祈りしますと同時に、今回発生した事例を真摯に受け止め、二度とこうした自体を惹起せぬよう、調剤過誤防止に向けた会員への指導並びに周知を一層強化する所存です。」


調剤過誤防止だけではなく,当然と言えばあまりにも当然ですが,やはり万一調剤過誤がおたしたとき,患者への服薬中止の指示や,調剤薬の回収をするなどの安全対策を必ず講じるよう会員への指導並びに周知徹底も御願いしたいものです.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-23 23:21 | 医療事故・医療裁判

大和市立病院,1500万円で和解へ(ベッド上のいすから転落後骨折がわからず出血死した事案)

◆ 報道
b0206085_11252138.jpg
神奈川新聞「市立病院で患者がベッドから転落後死亡、市が遺族と和解へ/大和」(平成23年8月23日)は,次のとおり報じています.

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「大和市は22日、90歳代の男性患者がベッドから転落後、死亡した市立病院の事故で、男性の遺族に損害賠償金1500万円を支払うことで和解する確認書を締結した、と発表した。

 市によると、男性は2006年8月から心不全や高血圧などで通院。翌07年6月、血栓の超音波検査中に臨床検査技師の女性からベッド上のパイプいすに座るように指示を受けた。しかし、立ち上がる際にバランスを失い、床に転落、肋骨を折るなどした。

 男性は翌日、呼吸不全で死亡した。遺族側は大和署に業務上過失致死容疑で告訴。司法解剖では、骨折による左胸内の出血などが死因とされ、損害賠償を求めていた。

 病院側は「転落を回避できず、事故直後の診断で骨折を把握できなかった。結果的に骨折が容体急変の要因になった。診療に不十分な点があったことをおわびする」などと釈明。事故後、同様の検査では(1)危険性のある患者には複数で対応する(2)ベッド上にいすを置かない―などの再発防止策をとった。

 市は9月の市議会第3回定例会で補正予算案を提出。全額が病院賠償責任保険で支払われるという。」


◆ 感想

ベットの上にパイプいすを置いて90歳代の患者に座らせると,転倒転落する事態が生じることは,当然予見できます.また,胸部の検査も実施していますが,骨折を把握せず,事故の約23時間後、容体が急変し骨折による左胸内の出血が死因になったのですから,注意義務違反だけではなく,因果関係もあると言えます.
骨折を把握しなかったことが注意義務違反か否かが争われる事案がありますが,本件は,何れにしろ最初に,ベットの上にパイプいすを置いて90歳代の患者に座らせた時点で,注意義務違反がありますから,責任を免れることはできません.

病院が責任を認め,再発防止策をとったことは重要です.
90歳代でも,死亡慰謝料は本来2000万円ですが,和解による解決では1500万円は妥当な金額と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-23 11:15 | 医療事故・医療裁判

個人輸入薬,13%で副作用,2008年以降疑い含め死亡3例

b0206085_7523247.jpg朝日「個人輸入薬、1割の人に副作用 疑い例含め3人死亡」(平成23年8月23日)は,次のとおり報じています.

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インターネットのサイトなどから個人輸入した薬をのんだ人の1割に意識障害や血圧上昇などの副作用が起きていることが、厚生労働省研究班の初の調査でわかった。こうした薬の中には、有効成分の量が多いなどの偽造品も多いが、個人で輸入して使うことは薬事法で規制されない。厚労省は対策強化の検討を始めた。

 研究班が薬を個人輸入した経験のある663人のうち、追跡調査に協力した157人に聞くと、13%が副作用を経験していた。薬の種類は、勃起不全(ED)治療薬が約3割で最多。育毛剤、ダイエット関連、睡眠薬が続いた。購入の理由は「安かった」が6割で、「病院に行かなくていい」が3割だった。

 ED治療薬を販売している4社による調査でも、ネット上でED治療薬を買った276人の約4割が頭痛やほてりなど副作用のような症状を経験していた。

 厚労省によると、2008年以降、タイのやせ薬をのみ、疑い例を含め3人が死亡した。10年6月に奈良県立医大病院にけいれんや意識低下を起こし運ばれた40代男性は、偽造ED治療薬をのんでいた。

 有効性や安全性が確認されていない薬でも、1、2カ月分程度を自分の責任で輸入、使うことは薬事法では規制されない。厚労省の部会では、個人使用の場合でも副作用を報告する仕組み作りや、広告やネットの監視強化などを求める意見が出ており、同省は年内にも規制強化策をまとめる。」


医薬品の個人輸入は,自己責任とされ,今まで被害実態の散発的な報告(重大な健康被害も結構多い)はあっても,まとまった研究報告がなかったため,貴重です.

医薬品の個人輸入といっても,実際にはインターネットを通じて日本国内で流通しているのと同じ状況なので,また健康被害も多いので,規制強化が必要でしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-23 07:19 | 医療