弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 08月 31日 ( 4 )

苫小牧市立病院,気管切開でカニューレが適切に挿入されず死亡した件で示談

b0206085_19541740.jpg◆ 報道

北海道新聞「手術で女性死亡 500万円払い示談 苫小牧市立病院」(平成23年8月31日)は,以下のとおり報じています.

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「【苫小牧】苫小牧市は31日、同市立病院で昨年4月、市内の50代女性が気管切開手術を受けた際、「カニューレ(気管を切開して挿入する呼吸用チューブ)」が気管に適切に入らず、呼吸不全で死亡したと発表した。市は遺族に500万円を支払って示談が成立したことも明らかにした。

 同病院によると、女性は脳出血で意識障害を起こし、同病院に搬送され、血腫の除去手術を受けた。しかし、症状は改善せず、1週間後、口から気管に入れていた呼吸用チューブをカニューレに置き換える手術をした際、適切に挿入できなかったという。

 市は「重大な過誤、過失はなかったが、気管切開手術が死亡要因であることは確か」としている。示談は今年8月22日付。」


◆ 感想

「適切に」挿入できなかった,というのは,どういうことなのでしょうか,
鉗子で気管支壁を拡張したけど気管壁が固くて,カニューレが入らなかった,ということなのでしょうか.
「重大な過誤、過失はなかった」というのは,「重大ではない過誤、過失はあった」という意味でしょうか.
よくわかりません.

ただ,厳密にどの行為に過失があったのかを具体的に特定することはできなくても,気管切開を行って,カニューレが適切に入らなかった(入れられなかった)という事情から,補償をすべきというのは,常識的な考えだと思います.示談は適切だと思います.

なお,このようなことがあると,気管内チューブ留置を続けるか,気管切開をとるかを迷う患者家族もいるのではないでしょうか.医師によって考え方の違いもあるでしょうが,医師は少なくともメリット,デメリットの説明を丁寧に行うべきでしょう.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-31 19:48 | 医療事故・医療裁判

8月のお誕生日会

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事務局Hです.
学生時代のバンドメンバーの,8月のお誕生日会をしました.
主役2人のためにプレゼントやバースデーカードを選んだ後,待ち合わせ場所にした渋谷のお洒落なカフェバーへ.
お酒もお料理も美味しく,茶を基調とした落ち着いた内装の,ムードのある素敵なお店でした.

私達は女4人,仕事や恋愛の話で大盛り上がりでしたが,
ふと周りを見てみれば,デート中のカップルや,合コンとおぼしき6人組など,
女だけで食事をしていたのは私達だけでした.

二次会は,カラオケへ.
普段はスタジオで楽器を演奏する者同士,今までは敢えてカラオケに行こうという話にはならなかったので,このメンバーでのカラオケは初めてでした.
ですが,高校時代夢中でコピーしたバンドの曲や,先輩バンドが引退ライブで弾いていた曲等を片っ端から歌い,思い出に浸り,これ以上ない盛り上がりをみせ,あっという間の1時間でした.
お手洗いに立つ際に他の部屋をチラっと見てみたところ,女だけでカラオケを楽しんでいたグループもまた,私達だけでした.

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by medical-law | 2011-08-31 14:53 | 休暇・休日

禁煙補助剤チャンピックスで意識障害6人,交通事故も

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◆ 報道

朝日新聞「禁煙補助剤「チャンピックス」で意識障害6人」(平成23年8月30日)は次のとおり報じています.

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「厚生労働省は30日、禁煙治療に使われる飲み薬「チャンピックス」(成分名・バレニクリン)を服用した患者のうち6人で、気を失うなど副作用が疑われる意識障害が起こっていたと発表した。

 厚労省によると、チャンピックスは国内で販売されている禁煙補助剤の中で唯一、脳に直接作用する。6人は40~70歳代の男女。うち3人は自動車の運転中に起き、2人が意識を失い、1人が眠くなった。3人ともけがはなかった。残り3人は、ぼーっとするなど意識のレベルが低下した。

 60代の男性は、飲み始めて8日目に起きた。服用してから約20分後、車の運転中に意識を失い、気づいた時には、側溝に車が突っ込んだ状態だったという。

 チャンピックスは2008年5月から販売され、年間使用者数は推計41万4千人。販売元のファイザーは医師向けの説明文書を改訂し、自動車の運転や危険を伴う機械の操作をさせないよう注意を促している。」

◆ 7月5日の添付文書改訂の内容

7月5日の添付文書改訂は,以下のとおりです.

「[重要な基本的注意]の項のめまい、傾眠に関する記載を
「めまい、傾眠、意識障害等があらわれ、自動車事故に至った例も報告されているので、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。」
と改め、[副作用]の「重大な副作用」の項に
「意識障害:
意識レベルの低下、意識消失等の意識障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。」
を追記する。」


◆ 感想

禁煙補助剤チャンピックスによる精神神経障害は,かなり前から指摘されています.
アメリカでは,自殺行動や攻撃性の出現などの事例報告が多数あり,日本でも異常行動・自殺行動などの精神障害,意識消失などの神経系障害が報告されていました.
薬害オンブズパースン会議の2009年7月6日及び同年12月28日の要望書をご参照ください.

ニコチンは,脳に働きかけ,認知の歪みを生じさせます.そのニコチン依存から脱するために,ニコチンが働きかけるところに働きかける,という発想でつくられたのが,このチャンピックスです.
チャンピックスは,ニコチン置換薬ではなく(非ニコチン製剤),ニコチン受容体に選択的に働きかけ,少量のドパミンを放出させ,離脱症状やタバコに対する切望感を軽減するとともに, 喫煙による満足感を抑制するという画期的な作用機序で禁煙効果を発揮します.
ニコチンではないのに,ニコチンと同様の作用があるのです.
それだけに,精神神経障害も警戒しなければなりません.

同じ薬について,アメリカと日本では,同じように危険性が表示されていないのは,問題です.
本薬についても,日本の添付文書は,改訂後でもまだ危険性の指摘が弱いと思います.

副作用発現により禁煙が頓挫することのないよう,患者は注意事項を遵守し,医師には患者の観察を丁寧に注意深く行ってほしいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-31 02:46 | 医療

ファクターXa阻害剤アピキサバンがワーファリンに優るという報告

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◆ アピキサバンとワーファリンの比較臨床試験

AFP「心房細動による脳卒中の予防,新薬アピキサバンが効果的 米研究」(2011年8月30日)が,新薬候補のアピキサバン(Apixaban)の第3相の臨床試験について報じています.

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米デューク大(Duke University)のクリストファー・グランガー(Christopher Granger)教授のチームは,8月29日,欧州心臓病学会で次の発表を行いました.

39か国1万8000人以上の患者を2つのグループに分け,一方にはアピキサバン5ミリグラムを1日2回,他方には血液検査の結果に応じて量を調節したワーファリンをそれぞれ服用してもらい,平均で1.8年間追跡した結果,アピキサバンはワーファリンに比べ脳卒中と全身性塞栓症リスクが21%,大出血リスクが31%,総死亡リスクが11%,それぞれ有意に減少したというものです.
つまり,心房細動が引き起こす脳卒中に対する予防効果は,標準的な薬であるワーファリンよりも新薬候補のアピキサバンの方が高かった,という結果がでました.

◆ 感想

以前アピキサバンとアスピリンとの比較試験の報告がありましたが,アスピリンには勝って当然なので,今回ワーファリンに優るという結果がでたことで.新薬承認へ一歩近づいたと思います.

血液凝固の仕組みは,何段にも分かれた滝(カスケード)のように,順々に凝固因子が生成されていきます.
プラザキサはフィブリン生成に必要なトロンビンを阻害する薬ですが,アピキサバンは,そのトロンビンの生成に必要なファクターXaを阻害する薬です.つまり,一つ手前の滝に作用すると言ってよいでしょう.

日本では,「プラザキサカプセル」(ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩製剤)と関連性を否定できない出血性副作用による死亡例5例が,今月報告され,添付文書が改訂されました.
「本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず,本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はない」ので,観察を十分に行い,危険な徴候を認めた段階で直ちに適切な処置を行うこととされています.
こうなると,プラザキサは実際上使いにくいことになります.

プラザキサが実際上使いにくいとなると,今度はアピキサバンに期待が集まるでしょう.

ただ,私のような素人が考えても,血液凝固を阻害しながら,出血の危険を最小にするのは相反する要請です.
血液凝固にかかわる薬は,新薬が次々と開発されていますが,安全性に問題があることも多いので,期待と警戒をもって注目したいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-08-31 02:02 | 医療