弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 09月 24日 ( 4 )

広島県海田町の介護施設の介護福祉士,向精神薬による傷害に続いて,インスリン投与で殺人未遂で再逮捕

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勤務先のデイサービス介護施設で利用者の男性(67歳)に向精神薬ベゲタミンを投与して意識障害に陥らせたとして傷害罪で逮捕・起訴された元介護福祉士ですが,今度は,88歳の女性に対する殺人未遂罪で逮捕されました.
インスリン投与の事実が認められても,殺人の故意があったかは別ですので,捜査の結果を待ちたいと思います.

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毎日新聞「殺人未遂:「弱者守るはずが…」 介護福祉士、容疑で再逮捕--海田 /広島」(平成23年9月23日)は,次のとおり報じています.
 
「◇広がる衝撃と困惑
 介護の専門職がなぜ--。介護福祉士の×××××被告(47)=安芸区阿戸町=が、殺人未遂容疑で再逮捕された22日、勤務していた施設関係者らに衝撃が広がった。再逮捕容疑の手口は、多量に投与すると低血糖状態に陥り死に至る恐れがあるインスリンを用いたとされる。要介護のお年寄りが標的とされたことに、周囲は困惑している。

 ×××被告の勤務先だった海田町の介護施設「デイホームあいあいほのかの家」の代表は「利用者に申し訳ない」と謝罪した。事件があったとされる日、×××被告は利用者の入浴担当。浴室と居間はカーテンの仕切りがあるが、変わった様子はなかった。被害者の女性(88)は入浴して約30分後に発汗や脱力の症状が出て昏睡状態となり、職員が町内の病院に搬送した。女性はインスリン投与が必要な病気はなく、検査で多量のインスリンを検出した搬送先の病院が通報した。

 県警の調べに対し、×××被告は「イライラしていた」などと供述したとされるが、代表は「ストレスやトラブルがあったとは聞いていない」と言う。
 県は2日に施設関係者に聞き取りをしたが、県警が捜査中のため具体的な対応は進んでいない。県の担当課は「今回の再逮捕の内容は把握していない」と言う。同町は施設で虐待があったとして、研修強化や職員の健康状態の把握を求めたが、「弱者を守るはずの施設でこのようなことが起きるとは……」と戸惑う。再逮捕を受け、利用者から利用継続の意思を聴く機会を設けるよう施設に求めるという。【星大樹、中里顕】」




【追記】

中國新聞「元介護福祉士に懲役5年 広島地裁判決」(2012年2月28日)は,以下のとおり報じています.

「広島県海田町の通所介護施設で利用者に向精神薬などを投与したとして、傷害罪に問われた広島市安芸区阿戸町、元介護福祉士の×××××被告(47)の判決公判が28日、広島地裁であった。井野憲司裁判官は懲役5年(求刑懲役6年)を言い渡した。

 井野裁判官は「介護職員の立場を悪用し、自己満足のため高齢者の身体の安全を犠牲にする陰湿で狡猾こうかつな犯行」と指摘。「高齢者に薬剤を投与して異変を生じさせ、それで憂さ晴らしを図るなどあまりに理不尽であり、被告の身勝手さは際立つ」などと断じた。

 ×××被告は昨年5~7月、介護福祉士として勤務していた海田町の通所介護施設で、利用者5人に向精神薬を飲み込ませるなどし、意識障害などを負わせた。」


谷直樹
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by medical-law | 2011-09-24 03:06 | 司法

愛知厚生連海南病院でも筋弛緩剤が1本紛失

b0206085_938193.jpg時事通信「病院手術室から筋弛緩剤なくなる=致死量1.5人分-愛知」(平成23年9月23日)は,次のとおり報じました.

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「愛知県弥富市の海南病院で、手術室の冷蔵庫に保管していた筋弛緩(しかん)剤入りの小瓶(25ミリグラム)1本を紛失していたことが23日までに、分かった。成人1.5人分の致死量に相当するという。同病院は県警蟹江署に遺失物届を出した。
 同署によると、22日午後3時ごろ、手術室管理責任者の看護師長(46)が鍵付きの冷蔵庫内を確認したところ、筋弛緩剤が1本足りないことに気付いた。午前9時ごろに確認したときには異常はなかったという。」


鍵付きの冷蔵庫の中から毒薬が紛失していました.
毒薬である筋弛緩剤の管理については通達がでているのですが,各地の病院で紛失が相次いでおきています.最近でも,佐賀大学医学部付属病院で平成23年12月(但し公表は平成23年6月)に1本,独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターで平成23年1月に10本,独立行政法人国立病院機構千葉医療センターで平成23年9月に1本,それぞれ紛失しています.
筋弛緩剤以外の薬剤の紛失もよくあることなのでしょうか.

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-24 02:27 | 医療

9月23日熊本の「ハンセン病に関する親と子のシンポジウム」の報道

b0206085_9453181.jpgハンセン病元患者は,未だに差別・偏見を受けています.
政府広報オンライン,「HIV・ハンセン病に対する偏見・差別をなくそう」」で紹介した,9月23日の熊本での「ハンセン病に関する親と子のシンポジウム」について,次のとおり西日本新聞と熊本日日新聞で報道されました.
次回は,11月5日(土),静岡県浜松市(会場:浜松市福祉交流センター)です.

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◆ 西日本本新聞

「ハンセン病について分かりやすく説明し、偏見や差別の解消を目指そうという企画「ハンセン病に関する親と子のシンポジウム」(法務省など主催)が23日、熊本市の熊本学園大であり、約550人が参加した。

 内田博文九州大名誉教授らが、2003年に南小国町のホテルで起きた元ハンセン病患者の宿泊拒否事件や、「極めて感染しにくい」などの病気の特徴について講演。学校でハンセン病問題を学んだ4人の中学生がパネル討論をした。

 合志中(合志市)2年の書川(かきかわ)佑理さん(14)は、友達に根拠のない陰口をたたかれた経験を語り、「間違ったうわさや考えに基づいて他人を苦しめる点で、いじめとハンセン病回復者への差別は似ている。回復者の立場に立って考えたい」と強調。菊鹿中(山鹿市)3年の阪本悠太君(15)は「(合志市の国立ハンセン病療養所)菊池恵楓園の隔離目的の高い壁は大半が壊されたが、心の中の壁も壊さないといけない」と訴えた。

 内田氏は「世代間で連鎖する差別を断ち切るという意味で、力強い答えをもらった」と4人の発言を評価した。」


西日本本新聞「「差別を自分の問題として」 「心の中にある壁壊したい」 ハンセン病シンポ 中学生が主張 熊本市」(2011年9月24日)ご参照

◆ 熊本日日新聞

「ハンセン病問題を学び、偏見や差別の解消を目指す「親と子のシンポジウム」が23日、熊本市の熊本学園大であり、国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園(合志市)との交流を続ける地元の中学生が、差別のない社会実現への思いを語った。

 シンポジウムは、2003年にあった菊池恵楓園入所者に対する宿泊拒否事件を機に、法務省などが各地で開いている。県内での開催は初めてで、約550人が参加した。

 菊鹿中(山鹿市)と合志中(合志市)、西合志中(同)の中学生4人が意見発表。合志中2年の書川佑理さんは、いじめを受け悲しい思いをした経験を語り、差別にさらされたハンセン病元患者と重ね「自分がその立場だったらと考え、相手の気持ちに寄り添ってほしい」と呼び掛けた。

 他の中学生も「ハンセン病問題をもっと学び、差別のない未来を目指す」「心の中の差別の壁を壊したい」などと決意を語った。

 基調講演では、県「無らい県運動」検証委員会の内田博文委員長が、「元患者に対し加害者意識のない差別や偏見がある」と指摘。「差別を不法行為として法律に明確に規定するべきだ」と述べ、継続的な施策の必要性を訴えた。(楠本佳奈子)」


熊本日日新聞「差別ない社会を 熊本市でハンセン病学ぶシンポ」(2011年09月23日)ご参照

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-24 01:53 | 医療

新生児蘇生法講習会

b0206085_9201196.jpg日本経済新聞「新生児の脳性まひ防げ 蘇生法の講習会広がる」(平成23年9月22日)は,次のとおり報じています.

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「出産時に新生児に起きる脳性まひを減らすための対策が進んでいる。脳に十分酸素が届かない仮死状態からの蘇生方法が適切でないと重い脳性まひになる可能性が高まるため、蘇生法を指導する講習会が注目され、これまでに出産に関わる医療者の半数超が受講した。事例分析から防止策をまとめた報告書が8月に初めて公表されたほか、不備のあった施設には改善要請も。ただ蘇生に必要な器具などがない施設もあり、普及が課題だ。

「呼吸状態が悪く、チアノーゼ(皮膚が青紫色の状態)で生まれた」。8月下旬、岸和田徳洲会病院(大阪府岸和田市)で開かれた新生児の蘇生法の実習。インストラクターが「自発呼吸がない」「血中酸素飽和度は70%」などと状態の変化を刻々と伝え、約30人の医師や助産師らが研修用の人形に2人一組で「イチ、ニ、サン」と胸骨を圧迫、手動ポンプが付いた人工呼吸用マスクを併用する蘇生法を学んだ。


10分の1は処置必要


 同病院小児科の桑原功光医師は「出生直後の新生児の10人に1人は何らかの蘇生処置が必要になる。出産に立ち会うスタッフがチームで蘇生法を学ぶことが大切」と強調した。

 参加した大阪府内の病院に勤める助産師(31)は「危険な状態の新生児の出産に立ち会ったが、ベテランの助産師が対処する様子を見守ることしかできず、歯がゆかった」と言い、「チームプレーで的確に対応できるよう職場に戻ったら知識や技術を共有したい」と意気込んだ。

 講習会は日本周産期・新生児医学会が国際標準に基づいた蘇生法を普及させるために2007年度から始めた。受講者は初年度が941人だったが昨年度は1万人を突破、累計で2万6668人に。助産師が4割、看護師が3割、医師が2割強を占め、同学会の田村正徳・新生児蘇生法委員長は「出産に関わる医療者は約4万人。全出産に標準的な蘇生法ができる医療者が立ち会う体制にしたい」という。

新生児が仮死状態でも、背中や足の裏へのさする程度の刺激のほか、吸引器で気道から羊水を除去するなど「気道確保と人工呼吸用のマスクのみで9割は蘇生可能」(田村委員長)だ。さらに仮死状態が続くならば胸骨圧迫、気道への挿管、薬物治療が必要だが、田村委員長は「新生児を逆さにしてお尻をたたく誤った方法をとる医療者もまだいる」と指摘する。

 「同じような事例が繰り返される恐れがある」。日本医療機能評価機構(東京・千代田)は7月に開催した産科医療補償制度の運営委員会で、制度開始から1年半以内に重い脳性まひとなった2例の補償を申請した診療所に対して「蘇生法などに問題がある」として改善を要請したことを明らかにした。

 同制度は出産に関連して新生児が重い脳性まひとなった場合、20年間で計3000万円を給付する一方、医療機関から診療記録などの提出を受けて産科医や小児科医などが原因を分析、再発防止を目指している。原因分析に関わった関係者は「改善要請を出した診療所は2例とも学会が推奨する蘇生法を実施していなかった」という。

 同機構は事例分析から再発防止策をまとめた報告書を8月下旬に初めて作成。昨年末までに原因分析結果を公表した15例のうち、7例は蘇生法に問題があったため、「新生児蘇生の方法が脳性まひの主たる原因ではない」としながらも「適切に行うことは脳性まひを防ぐ上で重要」と警告した。


器具ない施設も


 国際的なガイドラインは10年に改訂され、新生児の脳に十分に酸素が届いているか確認する血中酸素飽和度や心拍数は指先に付けるパルスオキシメーターを活用することになっている。だが国内の新生児医療専門施設で新生児用の装置を整備しているのは9割強、産科診療所は9割弱、助産所は4割弱にとどまっている。

 このほか新生児用の人工呼吸用のマスクなど標準的な蘇生法に必要な器具を備えていない施設もある。埼玉医大総合医療センター(埼玉県川越市)新生児科の国方徹也准教授は「蘇生法の普及とともに、一日も早く必要な器具を100%整備する必要がある」と指摘している。

(前村聡、松浦奈美)

◇            ◇

重症、1000人に0.44人 補償を適用、原因分析進む

 2009年に始まった産科医療補償制度で、同年生まれで今年6月末までに補償した重い脳性まひの新生児は139人。5歳になるまで申請できるため、日本医療機能評価機構は今後の申請分を含めると、補償対象者は年間約440人になると見込む。制度開始前に見込んでいた約500~800人をやや下回ったが、新生児1000人当たりでは0.44人の割合となる。

 脳性まひは医療ミスがなくても起きるが、「医療ミスではないか」と訴訟になるケースもあり、親や産科医にとって負担が大きい。同制度はミスの有無にかかわらず補償することで、無用な訴訟を減らす狙いがあった。一方で、8月にまとめた報告書では、原因分析した事例の共通の課題として、蘇生法だけでなく、胎児の心拍数をチェックする分娩監視装置や陣痛促進剤の使用状況などを指摘している。

 同制度の再発防止委員会の委員を務める高校教諭、勝村久司さん(50)は1990年に妻が陣痛促進剤を過剰投与された直後に急変、生まれた長女は脳性まひで生後9日目に亡くなった。「医療界では脳性まひはやむを得ないこととして扱ってきたが、なぜ起きるのか原因究明し、再発防止に取り組むことが不可欠だ」と話している。」



新生児蘇生の遅れが重大な結果を生じることもありますので,新生児蘇生の講習会は重要です.

裁判例では,新生児の誤挿管(食道挿管)は,麻酔科医師に気管内挿管を的確に行う注意義務があること,産科医師に挿管後に肺の酸素化ができていることを確認する義務があること,がそれぞれ認められています(福岡地裁平成11年7月20日判決).

新生児仮死の状態で出生した新生児について,挿管を試みなかったか,挿管を試みたけれども挿管を成功させなかったとされた事案(挿管を試みたか否かに争いがある事案)で,注意義務違反が認められています(福岡地裁平成18年1月13日判決).

谷直樹
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by medical-law | 2011-09-24 00:15 | 医療