弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 10月 19日 ( 3 )

国立病院機構高崎総合医療センター,腎臓がんの手術ミスの疑いで捜査

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読売新聞「腎臓がん手術で他臓器も切除、患者2か月後死亡」(2011年10月19日)は,次のとおり報じています.

「国立病院機構高崎総合医療センター(群馬県高崎市高松町)で8月に腎臓がんの手術を受けた80歳代の男性患者が、他の臓器も切除され、2か月後に死亡していたことが18日、わかった。

 病院側は医療ミスの可能性があるとして8月に高崎署に届け出ていた。同署で業務上過失傷害容疑などの可能性もあるとして調べている。

 病院などによると、男性は8月3日に開腹手術を受けた際、腎臓に癒着していた他の臓器の一部も切除された。病院は同月、外部有識者も入れた臨時の医療安全委員会を開催。その結果、手術にミスがあった可能性があるとして、執刀した男性医師を当面、診療行為から外すことを決めるとともに、内規に従って同署に届け出た。患者は10月13日に死亡した。

 病院の魚住三郎事務部長は「遺族には賠償の必要があれば誠意を持って対応したい。警察の捜査結果を待って、公表なども判断したい」と話している。」


診療行為に関連して医師に過誤があればすべて業務上過失傷害,業務上過失致死になるというわけではありませんが,刑事手続きに付すること自体がNGという考えは一方的です.本件のようなケースは刑事手続きの中で正しい判断がなされることが必要と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-19 19:46 | 医療事故・医療裁判

日弁連,放射線審議会基本部会の住民の年間被ばく線量上限改定審議に関する会長声明

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文部科学省の放射線審議会基本部会は,住民の年間被ばく線量上限を,現行の年間1ミリシーベルトから年間1~20ミリシーベルトに引き上げる方向で検討していますが,日弁連は,これに反対する会長声明を発表しました.
以下,抜粋紹介いたします.

「ICRPも、放射線被ばくによる確率的影響についてはこれ以下であれば安全であるとされるしきい値はないとするLNT仮説を前提にしている。予防原則の観点からも、被ばく線量は可能な限り低くすることが必要である。

そのような観点から、放射線同位元素等による放射線障害の防止に関する法律等では、公衆の被ばく上限を年間1ミリシーベルトと定めていた。

今般審議会が根拠としているICRP Publication 111も、「汚染地域内に居住する人々の防護の最適化のための参考レベルは、この被ばく状況区分に対処するためにPublication 103(ICRP、2007)で勧告された1~20mSvの範囲の下方部分から選定すべきである。過去の経験により、長期の事故後状況における最適化プロセスを制約するために用いられる代表的な値は1mSv/年であることが示されている。」としているのであって、住民の生命・健康保護の見地から、被ばく線量上限の安易な緩和は到底許されない。

したがって、当連合会は、審議会に対しては、今般の被ばく上限の改定をしないことを、文部科学省に対しては、放射線防止法等関連法令における年間1ミリシーベルトの被ばく上限を維持することをそれぞれ求めるものである。」


※ ICRPとは,International Commission on Radiological Protection 国際放射線防護委員会のことです.

※ LNT仮説(Liner Non-threshold Theory)とは.「しきい値なし直線仮説」のことです.

※ ICRP Publication 111とは,“Publ.111 Application of the Commission's Recommendations to the Protection of Individuals Living in Long Term Contaminated Areas After a Nuclear Accident or a Radiation Emergency”のことです.
社団法人アイソトープ協会のサイトに,日本語訳ドラフト「(原子力事故又は放射線緊急事態後における長期汚染地域に居住する人々の防護に対する委員会勧告の適用(仮題)」が掲載されています.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-19 07:46 | 脱原発

東京高裁平成23年10月17日裁判上の和解(旧浦安市川市民病院の分娩時事故)

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毎日新聞「医療事故:分娩時に事故、賠償1000万円で和解--浦安市 /千葉」(2011年10月18日)は,次のとおり報じました.

「旧浦安市川市民病院で03年に出生した女児が、分娩(ぶんべん)時に重い障害を負った事故を巡って起きた訴訟について、浦安市は17日、東京高裁(三輪和雄裁判長)で和解が成立したことを明らかにした。市が女児側に計1000万円を賠償する内容。

 同市によると、女児は03年1月に同病院で出生したが、脳性まひによって重度障害を負った。両親は、医師らが胎児の心拍数などがわかる装置を準備せず、帝王切開への切り替えを怠ったなどと病院側の過失を訴えていた。女児は自力歩行できず、食事や排せつなども介助が必要という。

 昨年10月の1審・東京地裁判決は女児側の請求を退けたが、控訴審で三輪裁判長は8月、和解を勧告していた。

 同病院は、浦安市市川市病院組合が運営していたが、09年に民営化され、訴訟は浦安市が引き継いでいた。【野口由紀】」


2003年の事故が高裁で2011年に裁判上の和解となったわけですが,地裁では和解できなかったのでしょうか?

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-19 02:18 | 医療事故・医療裁判