弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 10月 23日 ( 3 )

薬害オンブズパースン会議,イレッサ下書き問題で3学会等に『見解』の作成経緯の調査を要望

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◆ 要望書


 薬害オンブズパースン会議は,平成23年10月20日,薬害イレッサ訴訟で,裁判所の和解勧告に対して見解を公表した日本臨床腫瘍学会,日本血液学会,日本肺癌学会と日本学術会議宛に「『肺がん治療薬イレッサの訴訟にかかる和解勧告に対する見解』の作成経緯の調査に関する要望書」を提出しました.

この学会の『見解』が,学会内での十分な議論と適切な手続を経て作成されたものであるのか,それとも不当な影響力ないし圧力が及んだ結果なのか,は議論のあるところですが,学会自身が調査し,明らかにする責任があるでしょう.

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◆ 要望の内容

厚生労働省からの働きかけを受けて学会名の見解を公表した日本臨床腫瘍学会,日本肺癌学会,日本血液学会に,事実関係を調査しその結果を公表するよう要望しています.
厚生労働省からの働きかけの具体的内容,働きかけを受けてから見解公表までの学会内の手続,学会及び関係学会員とアストラゼネカ社との利益相反の有無等について明らかにすることを求めています.

日本学術会議には,この問題の事実関係を調査し,その内容をふまえた上で,学術団体と行政や企業との関係の在り方について,日本学術会議としての見解を公表するよう要望しています.

◆ 下書き問題とは

薬害イレッサ訴訟を審理した東京地方裁判所と大阪地方裁判所は,平成23年1月7日,被告国及び被告アストラゼネカ社の責任を認め,被告らは被害者を救済する責任がある,とする和解勧告を行いました.
被告国(厚生労働省)は,関係学会に働きかけて,和解勧告を批判する内容の見解を公表するよう求めました.一部の学会に対しては,声明文の案(下書き)まで渡しました.
学会は,和解勧告を批判する内容の見解を公表し,そのことはマスコミでも大きく取り上げられ,世論に大きな影響を与えました.

厚生労働省の検証チームの調査報告書は,働きかけの結果「学会や個人から公表された見解自体に,不当な影響力ないし圧力が及んでいたとは認められない」としています.

これに対し,薬害オンブズパースン会議は,「厚生労働省の働きかけがなされてからきわめて短期間で見解が公表されていることや,厚生労働省から渡された「下書き」と公表された見解の類似性からすれば、厚生労働省からの影響力が強く及んでいたことは明らか」という見方をしています.

学会は,今までこの問題について沈黙を守っていますが,学会の公正さに対する社会の信頼を回復するために,適正な調査を行い,事実を明らかにすることを期待いたします.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-23 13:14 | 医療

竹久夢二美術館へ

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東大の弥生門をでたところに,閉館した立原道造記念館がありました。その通りに,弥生美術館と竹久夢二美術館があります.
弥生美術館と竹久夢二美術館は,渡り廊下でつながっています.どちらも,鹿野琢見先生が設立した美術館です.
鹿野琢見先生は,2年前の10月23日に90歳で亡くなりましたが,青年法律家協会の創設メンバーで,人権擁護にも熱心だった弁護士です.

竹久夢二画伯は,青年時代,平民社にも関係し,社会主義者荒畑寒村氏とも交友がありました.服部聖子さんは,「弱い立場の人々に目を向けた夢二に父は弁護士として心を動かされた」と書いています(日本経済新聞平成23年10月13日).

竹久夢二画伯は,思わず守りたくなる,病弱ななよなよした女性の姿態を描いた,と思われがちなのですが,実は,進歩的思想をもっていて,代表作「黒船屋の女」「水竹居」などにみられるように凛とした女性の美しさも描いています.

写真は,竹久夢二美術館で購入した絵はがきです.

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by medical-law | 2011-10-23 06:45 | 趣味

シンポジウム,みんなの医療基本法

b0206085_21422243.jpg日本経済新聞「医療基本法の実現求め都内でシンポ」(平成23年10月22日)は,次のとおり報じています. 

「医療を受ける患者の権利や医療提供のあり方などを定める「医療基本法」の実現を目指すシンポジウム(主催・患者の権利法をつくる会)が22日、明治大学(東京・千代田)で開かれた。患者支援者や医師、国会議員など約百人が参加。参加者からは「医療提供者と市民の双方が参画し、基本法を作るべきだ」などの声が上がった。

 日本には教育基本法や環境基本法など約40の基本法がある。パネリストの小西洋之参院議員は「主要政策分野で基本法がないのは医療や安全保障くらい」と指摘。医療基本法の必要性を訴えた。

 同会が作成した医療基本法要綱案では、医療における公共性の確保や患者と医療従事者の相互理解を求める「医療の基本理念」や、患者の権利・責務、国と自治体の役割などが盛り込まれた。

 参加者からは「患者自身が医療について学習する機会をつくることも盛り込むべきだ」などの意見も出され、パネリストは「患者自身が負担と給付を考え、決める場に積極的に参加することが大切」(全国社会保険協会連合会の伊藤雅治理事長)と答えた。

 基本法制定への取り組みについては「基本法はシンプルでカバー範囲の広いものにすべきだ。何を定めるかの議論がもっと必要だ」(愛育病院の加部一彦新生児科部長)などの意見が出された。」


しんぶん赤旗「医療基本法めざして20周年 権利法つくる会シンポ」(平成23年10月23日)は,次のとおり報じています.

「「患者の権利法をつくる会」は22日、「みんなの医療基本法」をテーマに東京都内で創立20周年記念シンポジウムを開き、同会の「医療基本法要綱案」を発表しました。約100人が参加しました。

 同会事務局長の小林洋二弁護士が「患者の権利と『つくる会』の20年」と題して基調報告し、要綱案の内容を説明。「憲法の理念と医療をつなぐ基本法が必要と、制定を求める声が広がっている。すべての医療制度の根幹に基本法をすえるのが私たちの考え方で、基本法による患者の権利の法制化をめざしている」と話しました。

 パネルディスカッションでは患者、医療者、研究者など5人が医療の担い手としての立場から報告。愛育病院小児科医の加部一彦さんは、医療崩壊といわれる医療の諸問題の打開へ向けて、「結局だれが責任を持ってどこで議論をするのか分からない現状。医療全体をどうするのかの理念がない。基本法をもとに医療の全法律を書き直すくらいの根本的な再構築が必要だ」と強調しました。

 NPO法人HOPEプロジェクト理事長の桜井なおみさんは、先月訪れたスウェーデンでは、政府が患者団体に助成金を出し、そのお金で患者会は調査、政策提案などを行っていることを紹介。患者、患者団体としての役割を果たしていくうえで患者への支援が大事だと話しました。要綱案について、「医療提供者が患者の権利を擁護する視点も必要」など活発な議論が交わされました。」


医療基本法は,かけ声に終わらせることなく,各方面の建設的な意見を取り入れ法制化することが,必要と思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-10-23 06:22 | 医療