弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 12月 20日 ( 1 )

札幌簡裁平成23年12月16日略式命令と静岡地裁沼津支部平成23年12月19日判決,医師法17条違反

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◆ 医師法17条違反

医師法の規定は,次のとおりです.

第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

第三十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。 
一  第十七条の規定に違反した者 
二  虚偽又は不正の事実に基づいて医師免許を受けた者 
2  前項第一号の罪を犯した者が、医師又はこれに類似した名称を用いたものであるときは、三年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 

◆ 札幌簡易裁判所平成23年12月19日略式命令

臨床工学技士が,人工透析患者5人に対し,血管にカテーテルを挿入する「シャントPTA手術」を行った事案は,略式起訴で罰金100万円となりました,
幇助犯の准看護師は,従属的立場として不起訴になっています.

院長が臨床工学技士にシャントPTA手術を指示し,臨床工学技士がそれを行うとは,私は,信じられないのですが,残念ながら事実のようです.

毎日新聞「無資格手術:院長と技士に罰金100万円 札幌簡裁命令」(2011年12月16日)は,次のとおり報じています.

「北海道石狩市の「はまなす医院」の臨床工学技士が無資格で血管拡張手術をしたとされる事件で、札幌区検は16日、院長の××××(65)、臨床工学技士の××××(60)の2容疑者を医師法違反で略式起訴した。札幌簡裁は同日、それぞれに罰金100万円の略式命令を出した。同容疑で逮捕された准看護師の女(47)は、ほう助の罪に当たるとされたが、従属的だったとして起訴猶予とした。

 起訴状によると、2人は09年2月~11年4月、人工透析患者5人に対し、医師免許がない××技士の執刀で血管にカテーテルを挿入する「シャントPTA手術」を行ったとしている。誤った処置をすれば血管破裂などの重大事故につながる恐れもあったが、いずれも健康被害はなかったという。【金子淳】」


◆ 静岡地方裁判所沼津支部平成23年12月19日判決

「心療内科医」をかたって,53回にわたり,診療所で患者2人に問診するなど医療行為を行った事案では,懲役1年6月、執行猶予4年となりました.

静岡第一テレビによれば「医師の免許がないのに医療行為をしたとして医師法違反に問われた女に地裁沼津支部は19日、執行猶予つきの有罪判決を言い渡した。判決を受けたのは、伊豆の国市四日町の無職、×××××被告(44)。判決によると××被告は、医師の免許がないのに、おととしから今年にかけて、2人の患者に53回にわたり診察などの医療行為を行ったもの。19日の判決公判で、地裁沼津支部の岡田龍太郎裁判官は、「被害者は、しかるべき治療を受ける機会を失い、より深刻な状態に陥る危険があったが健康被害が生じた証拠はない」として、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。」とのことです.

正常な医療を受ける機会を失わしめる虞があることを理由に処罰するという考えは,最高裁判所昭和35年1月27日判決の少数意見の立場です.正常な医療を受ける機会を失わしめる虞がある行為まで含むとすると,処罰の範囲は広がります.

しかし,一般には,医師法第17条の趣旨は,人体に危害を及ぼす虞があることに求められています.
抽象的危険犯であって,人体に危害を及ぼす危険が具体的にあることまでは求められていませんから,診療内科医の治療行為としてのカウンセリングのようなことを行っていたとすれば病状を悪化させる抽象的危険が認められ本件が有罪であることにはおそらく違いは生じないでしょうが,医師法第17条の解釈が,前記最高裁判所判決の多数意見とは異なる立場をとったとすれば,気になります.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-20 07:02 | 医療事故・医療裁判