弁護士谷直樹/医療事件のみを取り扱う法律事務所のブログ

2011年 12月 28日 ( 1 )

新潟大学医歯学総合病院,肝臓専門医が術後の経過観察を怠り,厳重注意処分

b0206085_7453755.jpg専門医が,「術後の経過観察について血液検査と画像診断を定期的に行うこと」を知らず,肝細胞がんの再発発見が遅れたケースがありました.

新潟大学医歯学総合病院によれば,事故の概要は以下のとおりです.

「医療事故の概要 
1 本院で肝細胞癌の手術を受けられた患者様で、外来担当医師(本院第一外科所属の50代男性医師)の判断により、数年にわたってCTやMRIなどの画像診断を行わず、その後に肝臓での腫瘍の再発を来した患者様が2名おられることが判明しました。2名とも、非肝炎ウイルス性肝疾患を背景に発生した肝細胞癌でした。1名は腫瘍マーカーの上昇を契機に、もう1名は他院で行われた画像診断によって、それぞれ肝臓に腫瘍の再発がみつかり、現在も本院で治療を継続されております。 

2 本院では、医療事故対策委員会で検討するとともに、外部委員を含む調査専門委員会を設置し、詳細な原因の究明と対策の検討を行いました。その結果、非肝炎ウイルス性肝疾患を背景として発生した肝細胞癌であっても、画像診断による定期的な経過観察が必要であり、画像診断を行わなかったために肝臓での再発の発見が遅れて、患者様の経過に重大な影響を及ぼしたという結論に至りました。 

3 これらの事実については、患者様およびご家族に説明し、謝罪しました。 

4 今後は、クリニカルパス等を活用して必要な検査の予定を明確にするとともに、検査に漏れが生じないよう診療グループの複数の医師によって確認することで、同様な事故の再発防止に取り組んでまいります。」
 

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読売新聞「新大病院で不適切診断 がん再発発見2件で遅れる」(2011年12月28日)は,次のとおり報じています.

新潟大学医歯学総合病院(新潟市中央区)は27日、第一外科の男性医師が肝細胞がん手術を行った患者2人に術後の経過観察を適切に行わず、再発に気づくのが遅れた医療事故があったと発表した。患者の容体は安定し、通院中という。同院は患者らに事情を説明して謝罪。この医師を口頭での厳重注意処分とした。

 発表によると、医師は50歳代の日本肝臓学会専門医。2007年頃に非ウイルス性肝細胞がんの50歳代男性患者を手術後、血液検査は定期的に行ったが、コンピューター断層撮影法(CT)などによる画像診断はしなかった。その後の画像診断で、肝細胞がんの再発が判明したという。

 この患者が今年8月、院内の医療相談室に苦情を寄せたことから、同院は外部の専門家も交えて調査を開始。術後の経過観察については07年頃から、血液検査と画像診断を定期的に行うことが医学雑誌などで推奨され、09年版の「肝癌(がん)診療ガイドライン」にも記載されていた。男性医師は認識していなかったという。

 さらに他の患者を調べたところ、08年頃に手術した60歳代の男性患者に術後の画像診断が行われず、血液検査で異常値が出たのを機に、他の病院で受けた画像診断により再発が見つかったケースもあった。

 内山聖院長は「信頼を損ねる事故を起こし、深くおわびする」などと謝罪した。


文中の「日本肝臓学会専門医」とは,「社団法人日本肝臓学会肝臓専門医」のことでしょう.

「社団法人日本肝臓学会肝臓専門医は,当学会が指定する指導医のもとで当学会が定めたカリキュラムに基づいて研修を行うなどの受験資格を得て,毎年1回行われる肝臓専門医認定試験に合格した医師を指します。平成20年6月末現在、肝臓専門医は3,941名に達しています。」と社団法人日本肝臓学会のサイトに記載されています.
社団法人日本肝臓学会肝臓専門医は,当然,術後の経過観察について血液検査と画像診断を定期的に行うべきことを知っていなければならないでしょう.

社団法人日本肝臓学会は,肝臓専門医の中に,このように,基本的なことを知らずに診療にあたっている医師がいたことを,重く受け止める必要があると思います.

肝臓病の治療にあたる医師で,もし万一術後の経過観察で血液検査と画像診断を定期的に行っていないケースがあれば,確認し,早急に実施したほうがよいと思います.
術後の経過観察を受けている患者で,もし万一血液検査と画像診断を定期的に受けていないケースがあれば,医師に確認したほうがよいと思います.

谷直樹
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by medical-law | 2011-12-28 07:11 | 医療事故・医療裁判